地域で高齢者を見守る施設 「地域包括支援センター」とは? どんなサポートが受けられるの?

病気への対応と介護予防の援助

高齢の方ほど、病気の症状が急激に悪化することがあります。また自分の健康状態を「まだ大丈夫!」として、医者の診察を受けたがらない方も結構おられます。とくに家族が近くにいる方は、センターがその家族と協力し、症状に応じた専門医や総合病院を必要に応じて紹介、治療のサポートを行います。 

 

介護をなるべく受けなくて済むために重要な「介護予防」の相談にも応じています。具体的には、介護予防教室などを紹介し、そこへ出向くことで、介護を受ける時期をなるべく遅くするプログラムを受けることができます。

 

単身の高齢者はどうしても1人でいる時間が長く、孤立することで認知症の発症リスクも高くなります。認知症の予防のためには、孤立した生活を送らないことが大切になります。できる限り、合唱や習字、手芸など趣味サークルの照会や、老人同士が集まり話し合いの機会を提供し、そこへの参加を促したりします。

 

不幸にして認知症を発症して判断力が衰えてしまった場合、預貯金の引き出しなどの財産管理が困難になります。親族が近くにいないときでも、相談者の立場で「成年後見人」制度が利用できるようサポート業務も行います。

 

地域の気になる高齢者を見守る

それぞれの地域で、高齢でひとり暮らしの方などが、もし病気になったとしても見落としてしまうかもしれません。また家族による虐待などが起こるかもしれません。そのためセンターが中心となり、地域の住民、商店街の役員、民生委員、交番の警察官、消防署員などの協力を得て、気になる高齢者の見守りを実施しています。

 

さらに、ひとり暮らし世帯や高齢者のみの世帯を対象に、「高齢者登録制度」をつくり、地域全体で高齢者のケアを制度化している地域もあります。

 

高齢者がこの制度に登録することにより、自宅で急病などの事態が発生した際、専用の通報ボタン操作で、担当者の派遣、救急車の手配、親族への連絡などを行ってもらえます。定期的に電話をかける安否確認業務も行っています。

 

この高齢者登録制度と配食サービスを組み合わせることで、高齢者の安否確認をすることも可能です。配食サービスのメリットは、持病を持っている方でもそれに沿ったメニューを選択でき、その都度、比較的安い料金で配達してもらえることです。

 

その際、注文をした高齢者本人への直接手渡しが原則のため、このことで安否確認が可能になります。登録制度を実施している地域に住み対象となっている高齢の方は、登録しておくといざというときに役に立つでしょう。

 

執筆者:黒木達也

経済ジャーナリスト

 

監修:中嶋正廣

行政書士、社会保険労務士、宅地建物取引士、資格保有者。

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