「口内炎と口腔がんの違い」はご存知ですか?見分け方のポイントも解説!

「口内炎と口腔がんの違い」はご存知ですか?見分け方のポイントも解説!

口腔がんでみられる口内炎と間違えやすい症状

口腔がんの初期症状は口内炎と間違うほど症状が類似しています。このため、口腔がんと気付かず手遅れになることもあるのです。この項では、口内炎と特に似た症状を記載するのでどちらか迷った際の参考にしてください。

がんができた部分が赤くただれる

口内炎は直径2〜10mmほどの赤い縁取りで円形状の潰瘍ができます。また、突起した歯が当たったりご自身で噛んでしまったりすると、できた傷から細菌が入り込み口内炎になるのです。このような口内炎は粘膜が裂けてできたもので、その部位に辛いもの・熱いもの・冷たいものなどが触れると痛みを発生させます。
一方、口腔がんは、口内炎と同じような潰瘍ができますが赤みがはっきりわかるほど強く、その部分がただれたような状態になります。しかし、口内炎のような痛みはなく表面をこすったとしても破れることはありません。また、潰瘍の周りは硬く、境界線がはっきりしない場合が多いのが特徴です。

口が開きにくく話しずらい

口内炎も強い痛みがあるときには、痛みのために会話や食事をする場合に口を開けづらくなるのです。口内炎の場合は、最初から口を開けられない原因がはっきりとわかります。
一方口腔がんは、口が開けづらいと感じたときに、はじめて患部にしこりがあることに気づくことが多いのです。また、舌の動きが鈍くなったり顎や首筋のリンパ腺が腫れたりするので口が開けづらくなっていきます。
その頃になるとがんが進行している可能性があり、痛みを感じることもあるでしょう。このような見た目にも変化がある場合は、なるべく早いうちに口腔がん治療を行っている病院で診てもらうことをおすすめします。

口内炎と口腔がんの治療法

口内炎は、ストレスや疲労などで十分な睡眠が取れていない場合にも発症することがあるのです。この場合は、原因を軽くすることで口内炎が治癒する可能性もあります。
また、口内炎の痛みで先述した症状が出ている場合は、薬剤を投与することで症状が軽減されます。以下では、口腔がん由来の副作用のことや治療法についてみていきましょう。

口内炎にはビタミン剤や軟膏などの対症療法

口内炎は日にちが経過するとしだいに痛みも薄れ、自然治癒することがほとんどです。しかし、痛みが強く摂食障害になってしまい栄養素が足りない場合や潰瘍部分に物が当たって痛い場合には、薬剤を投与すると痛みが軽減することがあります。
野菜不足や偏食などで口内炎が発症したと思われる場合はビタミンB2やビタミンB6で野菜不足を補うことができます。
また、患部に口腔用ステロイド含有軟膏を塗布することで粘膜を保護して痛みを軽減させるのに有効な手段です。
そのほかの口内炎の治療薬では、抗生物質・含嗽溶剤・硫酸銀・付着性錠剤などがあります。

がんの副作用由来の口内炎にはゲルを使う場合も

今までは、口内炎が悪化して口腔がんを引き起こす可能性について解説してきましたが、逆に口腔がんから口内炎が悪化する場合もあります。原因には以下のものがあげられます。

睡眠不足

摂食障害

ストレス

口の中の乾燥

痛みにより口腔内の清掃が不十分

このような口腔がんの症状がある場合に、口内炎を発症する可能性が大きくなるのです。
また、口腔がんの患者さんの口内炎には、口腔用ステロイド性消炎鎮痛薬インドメタシン(IM)ゲルが有効であるとの臨床報告があります。
このインドメタシン(IM)ゲルは、内服用インドメタシンと比較すると6分の1の使用量で効果が出るため毒性が非常に低く、また効果の持続性が認められているのです。

口腔がんは外科的治療や化学療法が主流

口腔がんは、がん組織が小さい場合は放射線治療だけでがんを取り除くこともできますが、腫瘍が大きい場合は放射線治療だけではすべてを取り除くのは難しいのです。そのため、腫瘍が大きい場合は腫瘍の摘出手術が主流になっています。
また、必要に応じて手術後のケアに抗がん剤投与による化学療法を併用していくのが一般的です。
一方、進行した舌がんの手術で患部を大きく取り除いた場合は、患者さん自身の太もも・おなか・腕などの皮膚や筋肉を採取して移植する再建手術も同時に行います。この手術の後は機能回復のための、長期間のリハビリテーションが必要になります。

口腔がん再発リスクの高い場合は放射線治療を行う

口腔がんが大きすぎてすべてを取り除くことができなかった場合は、「術後補助療法」として放射線治療を追加します。これは、再生リスクが高い場合に行われる治療法で、化学療法と併用して進めていく必要があるためです。
また、手術のリスクが比較的高いとみられる患者さんに対しては手術をせずに化学療法と放射線治療を勧める場合もあります。
また、放射線治療には「外部照射」と「小線源治療(組織内照射)」の2種類があるのですが、この2つはがん腫瘍が比較的小さい場合には効果があるとされている治療法です。
「外部照射」は体の外側から放射線を照射します。そして小線源治療(組織内照射)は放射線の発生する物質を病変に挿入して照射する方法です。

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