「上咽頭がんの初期症状」はご存知ですか?何科を受診すればよいかも解説!

「上咽頭がんの初期症状」はご存知ですか?何科を受診すればよいかも解説!

上咽頭がんは日本での発症率が低く、あまり知られていないがんの1つです。

上咽頭は鼻や耳とつながっており、上咽頭がんの発症は呼吸や聴覚に影響を及ぼします。

この記事では上咽頭がんの初期症状について、検査方法・治療方法と併せて解説します。上咽頭がんについて知り、早期発見に役立てていただければ幸いです。

≫「咽頭がんの症状」はご存知ですか?初期症状・治療法も解説!【医師監修】

監修医師:
渡邊 雄介(医師)

上咽頭がんとは?

上咽頭がんは頭頸部がんの1つです。頭頸部とは、鼻・口・のど・顎・耳やその周辺など、脳・目・頸椎を除く首から上の部分を指します。がん全体に対する頭頸部がんの割合は約5%で、さらに上咽頭がんの発生割合は頭頸部がんの中でも約3%です。
上咽頭がんはその名の通り、上咽頭に発症するがんを指します。咽頭とは、鼻の奥から食道の入り口までの約13cmの管です。咽頭は上から順に上咽頭・中咽頭・下咽頭の3つに分かれています。
上咽頭は頭蓋低(頭蓋骨の底)の直下、鼻の奥からのどの上部に位置しており、口を開けても直接見えない部分です。上咽頭がんは中国南部・東南アジア・北アフリカでの発症率が高く、日本を含むそれ以外の地域ではまれな病気です。発症率が高い地域とその他の地域における上咽頭がんには、組織型の違いがあることがわかっています。
発症率が高い地域でみられる組織型は、EBウイルス感染が原因と考えられています。
一方で日本などその他の地域における組織型の上咽頭がんの原因は解明されていません。現段階では、喫煙・飲酒との関連性が高いといわれています。
なおEBウイルス(エプスタイン・バー・ウイルス)は、大部分の日本人が乳幼児期に感染するヘルペスウイルスの一つです。感染しても症状が出ないことが多く、感染により必ず上咽頭がんが発生するものではありません。
日本で上咽頭がんと診断される方は、1年間で約750名です。男女比は、男性:女性が2~3:1と男性の方が多くなっています。年齢別では40~60歳で発症する方が多いですが、30歳以下の方が発症する場合もあります。

上咽頭がんの初期症状

初期の上咽頭がんは自覚症状がない場合もありますが、進行するにつれて症状が現れます。上咽頭がんの代表的な初期症状は以下のとおりです。

耳の閉そく感が起こる

上咽頭がんの腫瘍が大きくなると、耳の閉そく感が起こる場合があります。耳が詰まったように感じる原因は、がん腫瘍により滲出性中耳炎になるためです。
上咽頭と左右の耳は耳管でつながっています。がん腫瘍により耳管が塞がり、中耳(鼓膜の内側)で作られた分泌液が排出されずに溜まってしまう状態が滲出性中耳炎です。耳の閉そく感があるものの痛みはなく、音が聞こえにくくなります。

鼻づまりや鼻血が出る

上咽頭がんの初期症状は鼻の症状として現れる場合もあります。鼻づまり・鼻血・鼻水に血が混じるといった症状がある場合は上咽頭がんの可能性がありますので、医療機関を受診しましょう。

頸部のリンパ節のしこりが出る

上咽頭がんは頸部(首)のリンパ節へ転移しやすいため、首にしこりができる場合があります。耳や鼻の症状がなく、首のしこりだけが症状として出ることもあります。

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