「クレアチニンを下げる食事・飲み物」はご存知ですか?医師が徹底解説!

「クレアチニンを下げる食事・飲み物」はご存知ですか?医師が徹底解説!

クレアチニンを下げる食事とは?Medical DOC監修医が腎臓に良い食べ物・飲み物と血清クレアチニン値が高い人の病気リスクなどを解説します。

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監修医師:
伊藤 陽子(医師)

浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。

腎臓の機能に関わるクレアチニンとは?

筋肉に含まれるたんぱく質の一種であるクレアチンは、筋肉を動かすエネルギーを作り出すために使われるのですが、その際に老廃物となったものがクレアチニンです。クレアチニンは、腎臓から尿に排泄されるのですが、腎臓の働きが悪くなると排泄される量が減ってしまい、血液中のクレアチニンが高くなります。このため、血液のクレアチニン濃度を腎機能の指標として使っています。また、クレアチニン値は筋肉量にも影響され、筋肉量が少ない場合にはクレアチニン値が低くなります。このため、筋肉量が多い場合や少ない場合には正確な腎機能を測れないこともあります。

クレアチニンを下げる食事とは?

腎機能が慢性的に低下し、クレアチニンが上昇した場合には残念ながら腎機能を元に戻すことは困難です。このため、腎機能の進行を抑えるために腎臓に負担をかけない食事が重要です。具体的なポイントは下記のようになっています。

クレアチニンと食事は関係があるの?

腎機能を悪化させないためには、腎臓に負担をかけない食事が重要です。腎機能に負担をかけないためには、減塩、低たんぱく食が基本となっています。しかし、腎機能の状況、年齢など総合的に判断してこれらの食事量を決めるため、クレアチニンが高く腎機能が悪いと診断された場合には、医師にご自身に合った食事量を確認しましょう。

少なくとも、たんぱくを過剰に負荷することは腎機能を悪化させます。まずは正常人での蛋白摂取量を超えないように気をつけましょう。1日のたんぱく質摂取量の目安は体重1キロあたり0.8〜1.0gとされており、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、下記のように設定しています。
・18~64歳の男性:65g/日
・65歳以上の男性:60g/日
・15~17歳の女性:55g/日
・18歳以上の女性:50g/日
最近はプロテイン等サプリメントの過剰摂取で蛋白の過剰負荷となることもありますので気をつけましょう。

クレアチニンを下げる食事・食べ物

先程ご説明したように、これを食べればクレアチニンが下がるという食べ物やレシピはありません。しかし、腎機能が悪化しクレアチニンが上昇しないために腎臓に負担がかからないようにすることが大切です。まずは減塩が勧められます。厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では塩分摂取量の目標値は下記です。

塩分は、
・成人男性:7.5g未満/日
・成人女性:6.5g未満/日
腎機能が低下している方ではさらに、3g以上、6g未満/日の減塩が推奨されています。また、腎機能低下が進行した場合には、カリウム制限を行うこともあります。
一般的に血清カリウム値が5.5mEq/L未満となるようにします。
主治医よりカリウムの制限が必要と言われた場合には、摂取カリウムは1日2000mg未満を目安に制限しましょう。
カリウムは生の果物、野菜、豆類などに多く含まれています。バナナやピーナッツなどを多く食べ過ぎると危険です。また、生の野菜もカリウムが多く含まれるため、水にさらしたり、ゆでこぼすことでカリウムを減らすことができます。
しかし、カリウムは利尿作用もあり、腎機能が正常な方にとってはむくみを減らしたり、血圧を下げる効果も期待できます。このため自分の今の腎機能がカリウム制限を必要とするのか主治医に確認することが必要です。

クレアチニンを下げる飲み物

クレアチニンを上昇させない(腎機能低下を進行させない)ためには、脱水にならないようにすることは大切です。適度な水分をとるようにしましょう。
また、カリウムの制限がある方では野菜ジュースや玉露等はカリウムが多く含まれているためお勧めできません。コーヒーに含まれる抗酸化作用、抗炎症作用を示す物質が多く含まれ、慢性腎臓病(CKD)の進行抑制効果が期待できるとされています。コーヒー摂取量が1日2杯以上では1杯以下に比べて、CKD抑制効果が大きかったとの報告もあります。しかし、コーヒーはカリウムも含まれるため、カリウム制限がある方では注意が必要です。

逆にクレアチニンを上げる可能性がある飲み物として、アルコール・砂糖入りソフトドリンク・エナジードリンクなどは、カロリーや塩分、カリウムが多く含まれており、腎臓に負担をかけるため調整が必要です。その中でも、アルコールは、腎臓の血流を減らし、腎臓の機能を低下させるだけでなく、高血圧・糖尿病などの腎臓病の原因となる生活習慣病のリスクを高めてしまうので、適量にとどめましょう。

クレアチニンを下げる生活習慣

クレアチニンを上昇させない(腎機能を悪化させない)ためには、先程紹介した、食べ物・飲み物を積極的に取り入れるだけでなく、十分な睡眠、適度な運動、禁煙なども合わせて意識しましょう。

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