「心臓がチクチクする」原因・考えられる病気はご存知ですか?医師が徹底解説!

「心臓がチクチクする」原因・考えられる病気はご存知ですか?医師が徹底解説!

心臓がチクチクするとき、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

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監修医師:
小鷹 悠二(医師)

福島県立医科大学医学部卒業 / 専門は循環器内科 / 2009/4月~2013/3月宮城厚生協会坂総合病院 / 2013/4月~2017/3月東北大学病院循環器内科・同大学院医員 / 2017/4月~2018/5月仙台オープン病院循環器内科医長 / 2018/5月~おだかクリニック副院長 / 診療所での外来業務に加え、産業医、学校医としての業務も行っている。 また、医師業務以外の副業も積極的に行っており、ビザスクなどを通して企業の医療アドバイザー業も副業として行っており、年間70社以上の会社にアドバイザーとして助言を行うなどしている。 ライティングも行っており、m3.comや、Ubie病気のQ&A(https://ubie.app/byoki_qa/doctors/yn8ueqd6kjn)などにて定期的に執筆活動を行っている。

「心臓がチクチクする」症状で考えられる病気と対処法

胸がチクチクする、心臓のあたりが痛む、といった症状は、比較的多くの人が感じたことがある症状かと思います。心臓病や、急を要する病気ではないか、心配になってしまうこともあるかと思いますが、どんな状態が疑われるのか、どういった症状があると危険なのか、ご自身でしっかり知っていることが大切です。

胸が痛い・苦しいと一言で言っても、実際にはさまざまな症状が「胸が痛い」と表現されることが多いです。
胸の痛みなどの症状がある際には、まず「どのような痛み」なのかが非常に重要です。
大きく分けると、①ギューッと締め付けられる様な胸の痛み、②裂けるような痛み、③ズキズキ刺すような痛み、④チクチク・ピリピリするような痛み、があります。

締め付けるような痛みは、狭心症や心筋梗塞などに伴って出現しやすい症状です。

裂けるような痛みは、大動脈解離などに伴って生じることがある強い痛みのことが多いです。

ズキズキするような痛みは、胃潰瘍や骨折、心筋炎や胸膜炎などさまざまな原因で生じることがあります。

チクチク・ピリピリする痛みは、基本的には体表面に近い皮膚や神経からくる痛みのことが多く、緊急性は他の痛みに比べると低く、命に関わるような疾患の可能性は低いです。

①や②の症状は緊急性が高いことも多く、症状の程度も強い場合や、突然生じてきた場合には救急要請や救急外来受診、できる限り早期の受診を検討する必要があります。
③についても、なかには緊急性が高い疾患が隠れていることがあるため、症状の程度が強ければ救急受診が必要となることもあります。
④は基本的に緊急性は低いので、日中の外来を受診できれば問題ないことが多いです。

前述のように、チクチク・ピリピリする症状は体表面の痛みのことが多いため、皮膚や神経からくる症状のことが多く、主に下記のような病気や病態があります。

肋間神経痛

チクチクするような胸の痛みの代表的な症状としては、肋間神経痛や、体表面の神経痛があります。
心臓や肺など、人間の胸の臓器を保護している骨を肋骨と呼びますが、この肋骨に沿って走行する神経が肋間神経です。この肋間神経に、何らかの原因で痛みが生じてしまうと肋間神経痛が引き起こされます。
肋間神経痛自体は病名ではなく、あくまで何かの原因で引き起こされる症状のことを示します。
肋間神経痛は大きく2つに分けられ、特に原因となる病気がないのに痛みが出現する一次性(原発性)肋間神経痛、何かの病気が原因で引き起こされる二次性(続発性)肋間神経痛があります。
一次性肋間神経痛は、特別な病気などはなく、ストレスや疲労、寒さや暑さなどの環境要因、運動不足や無理な姿勢、女性の場合には月経前後や妊娠などさまざまなことが原因となって引き起こされる場合があります。
二次性肋間神経痛では、椎間板ヘルニアや側弯症、肋骨骨折、胸膜炎や肺がんなどさまざまな病気が原因となって出現することがあります。
診断のために必要な検査としては、胸部レントゲン検査や血液検査、場合によってはCT検査やMRI検査なども実施される場合があります。
治療としては、原因となる疾患がある場合はその治療を行います。それと並行して、痛みを軽減するNSAIDSなどの鎮痛剤や、神経痛を軽減する薬剤、肋間神経ブロック注射、湿布剤の使用などが行われます。

帯状疱疹

水痘・帯状疱疹ウイルスが原因で引き起こされる疾患です。
このウイルスは水痘(水疱瘡)の原因として知られるウイルスですが、多くは子供の頃に感染し、その後体内に潜伏していますが、ストレスや疲労、加齢などによって免疫力が低下した状態になると再活性化し、神経を経由して体表面まで広がり、発疹を出現させてしまいます。
典型的には左右どちらかに、発疹が出現する前からピリピリ・チクチクするような神経痛が出現してくることが多いです。数日経過してから、小さな水疱や赤みを伴う発疹が、神経の分布に沿って帯状に出現します。
診断は、特徴的な皮疹のため見た目で判断されることが多いですが、なかには血液検査や細胞検査、簡易検査キットを用いて診断されることもあります。
治療は、診断がつき次第速やかに抗ウイルス薬を投与し、痛みなどに対しては鎮痛剤を用いて対応します。治療が遅れた場合や、免疫力が低い方では痛みが残ってしまう帯状疱疹後神経痛が出現しやすいため、長期間の鎮痛剤やブロック注射などを必要とすることもあります。

ストレスや心因性の痛み

はっきりした原因がないにもかかわらず、胸のチクチクするような痛みや違和感が出現することもあります。精神的な要因、ストレスや疲労、寒い時に出やすいといった気温などの環境要因、睡眠不足などの生活習慣の乱れ、女性の場合には月経前後や妊娠などが原因となることが多いとされます。
なかには、痛みで不安になり過呼吸状態になってしまうことで、息苦しいなどの自覚も出現することもあります。
痛みなどに応じて鎮痛剤などの使用で対応し、ストレスなどがある場合にはストレスの回避、十分な休息や睡眠などをとるといった生活リズムの改善などで対応します。不安や緊張が強い場合には、抗不安薬などの気持ちを落ち着ける様な薬を使用することもあります。
基本的には、たまに出現する、瞬間的な胸のチクチク感であれば急を要することはなく、様子を見て大丈夫なことがほとんどです。

すぐに病院へ行くべき「心臓のチクチク」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

冷や汗が出る、今まで経験したことがないくらい強い痛みが持続する場合は、循環器内科へ

緊急性が高い胸の痛みとしては、締め付けられる・裂ける・刺すような強い痛みの場合があります。
冷や汗が出る、今まで経験したことがないくらい強い痛みが持続する場合には緊急性が非常に高くなります。その場合には速やかな救急要請が必要となります。
原因となるような疾患には、狭心症や心筋梗塞、不整脈、大動脈疾患(大動脈解離、大動脈瘤)、肺塞栓症などがあります。

受診・予防の目安となる「心臓がチクチクする」症状のセルフチェック法

心臓がチクチクする以外に皮疹がある場合

心臓がチクチクする以外に動悸や息切れ、呼吸困難、気が遠のく、失神などの症状がある場合

心臓がチクチクする以外に不眠、食欲低下、精神的な落ち込みなどの症状がある場合

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