「小学生になれば子どもが自立して楽になると、多くのママは考えがちです。でも、小学校という新しい環境になじむのは、想像以上に大変なこと。ママは入学から半年くらいは子どもの心のメンテナンスをしてあげる必要があるのです」
こう警告するのは幼児教育家の竹内エリカさんだ。小学校では新しい生活になじめないことで、やがて「不登校」につながる危険性もある。それをなるべく回避するためにも、最初のフォローが重要なのだ。そのためにまず、ママが焦らずじっくり向き合う精神力が必要になる。
●「早くしなさい」は即効性があっても持続性は育たない言葉
例えば幼稚園や保育園ではママが準備して送迎していたけど、小学校は基本自分だけで登下校しなくてはいけない。自分でちゃんと準備できるのか? そんな心配をよそに、子どもは朝のギリギリまで準備ができない…。
そんな時についママが言ってしまうのは「早くしなさい!」「だから言ったでしょ!」「いいかげんにしなさい!」というような言葉ではないだろうか?
「これらの言葉は、子どもを追い詰めてしまいます。たしかに『早くしなさい!』と子どもを急かせば、子どもは急ぎます。でも、それはその場限りで即効性はありますが、持続性がないんです。そうではなく、子どもと一緒に『どうすれば早く準備ができるか?』などの解決法を考えてみましょう。それが無理なら、ママが解決法を教えてあげてください」
竹内さんが提言する「子どもと一緒に解決法を考える」という方法は、ほかにも小学校生活での友達とのトラブルなどにも有効だ。
「友達に嫌なことをされたらどうするか? 例えば『嫌だとはっきり言う』『先生に伝える』など、一緒に子どもと解決方法を考える。そうすれば子どもは自分でトラブルを乗り越える術を学びます。これを最初にじっくりやると、後がとても楽になりますよ」

●ひらがなの読み書きは遊びながら生活で学ぼう
そのほか小学校の事前準備で気になるのは、やはり勉強のこと。特に通信教育のパンフレットなどには「入学までにひらがなの読み書きができるようにしよう」ということを声高に謳(うた)う。できていないと焦ってしまうママも多いと思うが、やはりしっかり学習するべきだろうか?
「学校ではきちんと基礎から教えてくれますし、入学時に完璧にひらがなが書けなくても読めなくても必ず追いつくものです。もし『自分の子だけできない』ことがママにとってストレスになるなら、ある程度準備をしたほうがいいですね」
準備といっても学習塾に通ったりする必要はなく「生活のなかで遊びながら覚える感覚で十分」だという。
「お風呂の壁などに貼れる50音表を活用する程度でいいし、テレビや絵本の文字を見ながら『これなんて読むの?』『これはね…』という感じで会話しながら学べばいいんです」
小学校の入学準備で重要なのはひらがなが読み書きできることではなく、子どもの心のメンテナンス。ママとしてはいくら歯がゆくても「早くしなさい!」と追い詰めるのではなく、まずはしっかりと見守る。そのための心構えが、小学校入学準備に一番必要かもしれない。
(高山惠+ノオト)
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