● 親は子どもに「歌が下手だ」と言ってはいけない
「うちのスクールにある音痴矯正コースに通われている生徒さんのなかで、本当に音痴だという方は意外と少ないんです。ほとんどの生徒さんは『自分は音痴だ』と思いこみ、歌に苦手意識を持ってしまった方。幼い頃、家族や友人から『歌が下手だね』と言われた経験がトラウマとなり、歌うことから避けてきた結果、歌が苦手だと感じてしまう方がとても多いんです」(上野由紀氏)
『自分は音痴だ』という思いこみや、歌に対する苦手意識を持たせないために、親は子どもに対して『歌が下手だ』と伝えるべきではないと上野氏は語る。
● 音痴は遺伝? 実は大切な家庭環境
そもそも音痴は生まれつきで遺伝するものなのだろうか?
「音痴は必ずしも遺伝というわけではありません。ただ、家庭環境が影響することは多いようです。ご両親の話し方が静か、家族間の会話が少ないと、子どももボソボソと小さい声で話すようになってしまうということはあります。その結果、声を出すための舌や声帯の筋力がつかず、歌が苦手になってしまうことがあるのです」(上野梨紗氏)
それでは、子どもが話す機会を増やすにはどうしたらよいのだろうか?
「例えば、子どもの具合が悪くて病院へ行き、先生が子どもに『どこが悪いの?』と聞いたとき、勝手にどんどん説明してしまうお母さんがいますよね。お子さんが自発的に話す機会を失わないよう、自分のことはなるべく自分で話させるようにしてください。“話す機会“の小さな積み重ねが声帯を強くし、声を出すことに対する苦手意識を少なくしていくのです」(上野由紀氏)
● 音楽に触れさせ、楽しいものだと興味を持たせる
「とにかく音楽に触れさせることです。家のなかで音楽を流す、小さなお子さんだったら童謡を聞かせてあげるのがいいですね。積極的にカラオケに連れて行くのも効果的です。家族やママ友とみんなで楽しみながら歌を歌いましょう。子どもがうまく歌えなかったとしても、下手だと指摘するのではなく、“手拍子をして気分を乗せてあげる”、歌い終わったら“頑張って歌えたね”と拍手してあげる。歌うことは楽しいことだと興味を持たせましょう。“好きこそものの上手なれ!”、音楽や歌を好きにさせることが、歌上達の近道です」(上野由紀氏)
迫りくる音楽界のため、家族のコミュニケーションの一貫として、今週末は、家族でカラオケに行ってみてはいかが?
(取材・文/谷亜ヒロコ)
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上野ヴォーカルアカデミー三代目校長。発声・発話方法、音痴矯正、などのレッスンを一般向けに指導するとともに、元プロ歌手の経験を活かし、歌手・声優・俳優のプロを目指す人たちの養成も行なう。2万人以上の指導実績。本の出版、講演活動など、ヴォイストレーナーとして幅広く活躍中。テレビ・雑誌等メディア多数出演。
上野 梨紗(左)
上野ヴォーカルアカデミー講師。幼少期から二代目校長上野直樹に師事。バンドボーカル歴10年、YAMAHA主催TEEN’S MUSIC FESTIVAL入賞。中央大学卒業後株式会社みずほ銀行就職。法人営業経験を活かしビジネス向け声の出し方等を指導。本の編集、講演活動、WEBマーケティング業務に携わる。
上野ヴォーカルアカデミー三代目校長。発声・発話方法、音痴矯正、などのレッスンを一般向けに指導するとともに、元プロ歌手の経験を活かし、歌手・声優・俳優のプロを目指す人たちの養成も行なう。2万人以上の指導実績。本の出版、講演活動など、ヴォイストレーナーとして幅広く活躍中。テレビ・雑誌等メディア多数出演。
上野 梨紗(左)
上野ヴォーカルアカデミー講師。幼少期から二代目校長上野直樹に師事。バンドボーカル歴10年、YAMAHA主催TEEN’S MUSIC FESTIVAL入賞。中央大学卒業後株式会社みずほ銀行就職。法人営業経験を活かしビジネス向け声の出し方等を指導。本の編集、講演活動、WEBマーケティング業務に携わる。