● 親は子どもに「歌が下手だ」と言ってはいけない
「うちのスクールにある音痴矯正コースに通われている生徒さんのなかで、本当に音痴だという方は意外と少ないんです。ほとんどの生徒さんは『自分は音痴だ』と思いこみ、歌に苦手意識を持ってしまった方。幼い頃、家族や友人から『歌が下手だね』と言われた経験がトラウマとなり、歌うことから避けてきた結果、歌が苦手だと感じてしまう方がとても多いんです」(上野由紀氏)
『自分は音痴だ』という思いこみや、歌に対する苦手意識を持たせないために、親は子どもに対して『歌が下手だ』と伝えるべきではないと上野氏は語る。

● 音痴は遺伝? 実は大切な家庭環境
そもそも音痴は生まれつきで遺伝するものなのだろうか?
「音痴は必ずしも遺伝というわけではありません。ただ、家庭環境が影響することは多いようです。ご両親の話し方が静か、家族間の会話が少ないと、子どももボソボソと小さい声で話すようになってしまうということはあります。その結果、声を出すための舌や声帯の筋力がつかず、歌が苦手になってしまうことがあるのです」(上野梨紗氏)
それでは、子どもが話す機会を増やすにはどうしたらよいのだろうか?
「例えば、子どもの具合が悪くて病院へ行き、先生が子どもに『どこが悪いの?』と聞いたとき、勝手にどんどん説明してしまうお母さんがいますよね。お子さんが自発的に話す機会を失わないよう、自分のことはなるべく自分で話させるようにしてください。“話す機会“の小さな積み重ねが声帯を強くし、声を出すことに対する苦手意識を少なくしていくのです」(上野由紀氏)