おでんと鉄板、相容れないようで、いい関係

鉄板の横に、大きな鍋。その隙間から、ふうわりと湯気が立ちのぼる。中にあるのは、大根、たまご、こんにゃく、厚揚げ──そう、「おでん」だ。
お好み焼き屋に、おでん?一瞬戸惑うけれど、ここではその組み合わせがごく自然だ。鉄板の熱と、おでんの出汁が、同じ空気の中に混ざり合う。

飲んだあとに染みる味。身体がふっと緩む感覚。きっと、締めに必要なのは“温度”なのかもしれない。
お母さんと”孫たち”の、静かなにぎわい
店内は、テーブルが2つとカウンター4席だけ。ぎゅうぎゅう詰めだけど、それがまたいい。お客さんは、どこか親戚のような雰囲気で座っている。

「ソースちょうだい」「チューハイおかわり」──そのやり取りも、親しみのある会話に聞こえる。
お母さんは補聴器をつけていて、ちょっと聞き間違えることもある。でもその代わり、誰かが頼んでないものが、にこっと笑って出てくることもある。

「気まぐれ大盛り」「黙っててもチューハイ」なんて、日常茶飯事だ。
こういう“ごちゃごちゃしたやさしさ”が、この店にはちゃんとある。それは、料理の味だけじゃなくて、店の空気にもしっかり染み込んでいる。
