夫・浩二に律子の言動をうち明けると、夫も彼女に依存などしておらず、困惑していたことが判明。夫の謝罪と協力に勇気を得た涼香は、律子からの申し出をきっぱりと断り、自立した一歩をふみ出す。
「親代わり」なんて思ったことはない
翌朝、浩二に昨夜のできごとをすべてぶつけました。
「律子がね、自分のことを私の"親代わり"だって言ったの。浩二が飲み会で羽をのばせるのは、自分が安心材料としてここにいるからだって」
浩二は目を丸くして絶句していました。
「はあ?親代わり?何、言ってるんだ……。俺が遅くなったのは、単に上司につかまって、抜け出せなかっただけだよ。律子さんがいるから安心なんて、一ミリも思ったことない。むしろ、いつも夜遅くまでいて、涼香の負担になってないか心配だったんだ」
「そうなの…。正直、もう限界。彼女はてつだいたいって言うけど、実際は、お風呂の入れ方一つとっても、私のやり方とちがうし、彼女がいることで夕飯の時間もずれる…。何より、私が"不安でたまらない"っていう設定を勝手に作られてるのが、耐えられないの」
浩二は、私の叫びにも近い言葉の一つ一つを、真剣に受け止めてくれました。
友だちに「弱者」扱いされていた事実
私は涙が止まりませんでした。
なれない育児で必死な中、理解者であってほしい友人に、自分の優越感を満たすために、「弱者」として利用されていた。
彼女にとって、私は「かわいそうな友人を救う有能な私」を演出するための道具でしかなかったのです。
「ごめん、涼香…。飲み会なんて行って、つけ入るスキを与えたのがわるかった。律子さんのことは、俺からもはっきり言おうか?」
「……ううん。これは、私と彼女の問題だから。でも、浩二が律子のことを、"親代わり"なんて思ってないって分かって安心した」
浩二は深く反省し、それ以降、飲み会の頻度を減らした。そして、仕事が終われば真っ先に帰宅して、奏斗の世話をしてくれるようになりました。
夫のサポートがしっかりあるという事実。
これが、律子の「親代わり」という虚像をうち砕く、最大の武器になります。

