大動脈解離を予防するには血圧の数値をどれくらいに保つべきか?
大動脈解離は、心臓から全身へ血液を送る最も太い血管(大動脈)の壁に、血圧による強い圧力がかかることで発症しやすくなります。このため、発症を防ぐには、血管への負担を最小限にする「厳格な血圧管理」が極めて重要です。
大動脈解離の予防策として、血圧は上の血圧(収縮期血圧)を130mmHg未満、下の血圧(拡張期血圧)を80mmHg未満に保つことが目標とされています。
この目標を達成し、血管の健康を守るためには、次のような取り組みも大切です。
• 日々の血圧測定:家庭で血圧を測り、自分の血圧の傾向や変動を把握する。
• 危険因子の管理:血圧だけでなく、喫煙、高脂血症(脂質異常症)、糖尿病といった、動脈硬化を進める他の危険因子も避ける。
• 生活習慣の改善:塩分を控える(1日6g未満)、適度な運動をする、禁煙するなどの生活習慣の改善を続ける。
「大動脈解離と血圧」についてよくある質問
ここまで大動脈解離と血圧について紹介しました。ここでは「大動脈解離と血圧」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
大動脈解離発症後は血圧の数値はどのように変化しますか?
小鷹 悠二 医師
大動脈解離では発症直後は心臓から血管にかかる圧力が非常に高くなるため、多くの場合で血圧が急激に上昇します。
特に、発症時には上の血圧(収縮期血圧)が180 mmHg以上になることもあり、これが血管の壁に大きな負担をかけます。
しかし、解離によって以下のような重篤な合併症を伴うと、状況は一変します。
• 大動脈の破裂:心臓の周りに出血が起こり、心臓が圧迫される(心タンポナーデ)。
• 心筋虚血:心臓に血液を送る血管の血流が障害される。
これらの場合、心臓のポンプ機能が低下し、血圧が急激に低下してショック状態に陥ることがあります。
発症後の血圧は、高くても低くても命に関わる極めて危険な状態です。そのため、緊急治療では、心臓への負担を減らし、さらなる解離の進行や破裂を防ぐために、薬を使って血圧を上の血圧で100〜120 mmHg程度にまで迅速にコントロールすることが最も重要とされます
大動脈解離による血圧の左右差はどれくらいで保った方がいいのでしょうか?
小鷹 悠二 医師
上の血圧(収縮期血圧)で10mmHg以上の大きな差がある場合は、異常なサインです。この大きな左右差は、腕へ血液を送る血管(鎖骨下動脈など)が動脈硬化などで狭くなっている、または大動脈解離などの特殊な病気が原因となっている可能性があるため、詳しい検査が必要です。
そのため、大動脈解離後の方で10mmHg以上の血圧の左右差が残っている場合には注意が必要なため、主治医によく相談する必要があります。

