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「危ない!」川辺に立つ認知症の女性…慌てて声をかけて制止した見守り配達員の1日【体験談】

「危ない!」川辺に立つ認知症の女性…慌てて声をかけて制止した見守り配達員の1日【体験談】

数年前、知り合いから頼まれたのをきっかけに、高齢者向けに見守りも兼ねた弁当配達パートを始めました。私自身50代で、同居している義両親や、遠方の実家で1人暮らしをしている母の介護に日々不安を感じています。そんななか、配達先で大きな川沿いの木造平屋に住む80代で1人暮らし女性のMさんと出会いました。Mさんは認知機能が低下していて、生活も荒れた状態でした。「1人暮らしの高齢者」の暮らしぶりを垣間見た、弁当配達員の体験談です。

認知症の女性1人暮らし、玄関が使えない

Mさんは80代の女性、一級河川沿いの古い木造平屋で1人暮らしでした。事前に、お弁当店の店長からは、「Mさんには認知症の傾向があるらしいので気に留めておいて」と言われていました。


配達初日に訪れてみると、Mさんの暮らしぶりはたしかに荒れた状態でした。玄関で呼び鈴を鳴らしてお弁当を渡そうとしましたが、玄関の内側には物があふれているらしく、Mさんはゴソゴソするばかりでなかなか玄関にたどり着けません。やっとたどり着いても、玄関の鍵の開け方がわからない様子でした。


私は、どこかお弁当を渡しやすい場所がないかと、家のまわりを見てまわりました。ガラス戸は長く開いた形跡がなく、中の障子もビリビリと破れたまま、勝手口の周辺も物が積まれている状態で寄りつけませんでした。唯一開閉できそうなのが居間の窓でした。「Mさん、この窓を開けてくださーい!」と声をかけた私。庭木は伸び放題で、枝を避けながら進まなくてはなりませんでしたが、どうにか枝をかいくぐり窓をノックして、どうにかお弁当を渡しました。Mさんはほとんど表情を変えずに、そっと手を伸ばしてお弁当を受け取りました。


それから、窓越しにお弁当を届ける日々が始まりました。Mさんはいつも無表情で無言、何を思っているのかは読み取れませんでした。

誰? 見慣れない県外ナンバーの車

ある日、Mさん宅へ配達に訪れると、見慣れない県外ナンバーの車が停まっていました。庭を抜け、家の窓を叩くと、40代くらいの男性が顔を出し、お弁当を受け取ってくれました。室内にはMさんの姿がありました。


私はいったんお弁当店への帰路についたのですが、無表情で座っていたMさんの様子を思い出すと、急に不安になってきました。「もしかしてあれはまったくの他人で、Mさん、詐欺に遭っているのでは……?」という疑念がどんどん膨らみました。


私は車を停めて、店長に確認をとりました。すると、その男性はたしかにMさんの甥っ子さんで、遠方から訪ねて来ていたことがわかりました。私は、ほっと胸をなで下ろしました。また、子どもがいないMさんの生活を気にかける身寄りがいると知って、少し安堵しました。


後日配達に行くと、甥っ子さんはもう帰ったあとで、玄関や勝手口まわりの物がいくらか片付けられていました。ただ、Mさんにとって扉の鍵の開け閉めは難しいらしく、かなり時間がかかるため、お弁当配達は、いくぶん庭木が剪定(せんてい)されて通りやすくなった庭の窓からの受け渡しを続けました。


Mさんはいつも家にいて、ゆっくりと家具に手をつきながら足を運び、窓を開けてくれました。しかし、甥っ子さんの来訪から半年ほど経つころには、Mさんの足の運びはかなり衰えているように見えました。

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