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「危ない!」川辺に立つ認知症の女性…慌てて声をかけて制止した見守り配達員の1日【体験談】

「危ない!」川辺に立つ認知症の女性…慌てて声をかけて制止した見守り配達員の1日【体験談】

川をのぞき込む姿に驚いて

雨が続いたある日、配達に行くと、窓の向こうにMさんの姿は見えませんでした。「Mさーん! Mさーん!」大声で呼びましたが返事はありません。胸騒ぎを覚えた私は、家の裏へまわりました。目の前には日ごろより水かさを増した川が音を立てて流れています。「まさか?」と焦りながら川岸に視線を走らせると、敷地の端っこで堤防の縁に立つMさんの姿がありました。


「危ない! Mさん!」と叫び、認知症による危険行動だ、止めなくては! と思った私は、急いで駆け寄って、Mさんの袖をつかみました。「大丈夫ですか?」と聞くと、Mさんはゆっくりと振り返り、きょろきょろとあたりを見回し、「ああ、雨が降ったから……」とつぶやきました。初めて聞いたMさんの声でした。単に川の水位が気になって見に出たようでした。


私が「日が落ちるので帰りましょう」と誘うと、Mさんは頷いたものの、結局、数分間じっと川に見入っていました。私も、日ごろ意思表示をしないMさんの起こしためずらしい行動に興味を引かれたので、そばで待ちました。そして、足が弱っているMさんを支えるようにして家に戻りました。よくあそこまでひとりで行けたなと、改めて驚きました。ただ、家に戻るとMさんはいつも通りの無表情・無言に戻っていました。

認知症が進行し、1人暮らしは困難に

川での出来事の2週間後、Mさんは1人で暮らすことが困難と判断され、施設に入ることが決まり、弁当配達は終了しました。


80代のMさんが認知症を患いながらほぼ1人で家に閉じこもり暮らしていた様子を知っていた私は、何だかやるせない気持ちになりました。もう少し、頻繁に訪れる身内がいたら……認知症になる前にもっと人と会えていたら……と。しかし、一介の弁当配達員がどうこうできることではありません。

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