現在、水ぼうそう(水痘)はワクチンによって、子どもたちがかかっても多くの場合軽症で済むようになりました。しかし「予防接種を受けてもかかるの?」「兄弟にうつるのでは?」と不安に思う保護者も少なくありません。そこで、医師の福原先生(だいすけこどもクリニック)に、水ぼうそうの基礎知識から治療方法、さらには受診の目安まで詳しく伺いました。
※2025年12月取材。
≫【1分動画でわかる】予防接種をしても『水ぼうそう』にかかるって本当?
監修医師:
福原 大介(だいすけこどもクリニック)
杏林大学医学部卒業。杏林大学医学部付属病院小児科、国立病院機構 西埼玉中央病院小児科、稲城市立病院小児科などで幅広い小児診療に従事。その後、スウェーデン・ウプサラ大学で研究に携わり、小児医療の知見を深める。帰国後は再び杏林大学医学部付属病院小児科を経て、2025年5月に「だいすけこどもクリニック」を開院。医学博士。日本小児科学会小児科専門医・認定小児科指導医。
水ぼうそうの基礎知識を医師が解説!
編集部
水ぼうそうとはどのような病気なのでしょうか?
福原先生
水ぼうそうは、水痘・帯状疱疹ウイルスによる感染症で、かゆみのある小さな発疹が全身に広がり、発熱を伴うことが多いのが特徴です。空気感染するため感染力が非常に強く、保育園・幼稚園で広がりやすい特徴があります。ただ現在は、予防接種により重症化が大幅に減っています。
編集部
水ぼうそうの予防接種について教えてください。
福原先生
水ぼうそうの予防ができる「水痘ワクチン」は、生後12カ月から36カ月未満のお子さんが定期接種の対象になっています。効果を高めるために2回接種が基本とされており、1回目は生後12〜15カ月におこなうのが一般的です。2回目は1回目から3カ月以上空けると接種できますが、実際には6〜12カ月後の追加接種を標準スケジュールとしている医療機関が多いですね。
編集部
予防接種をしても、水ぼうそうにかかることはあるのでしょうか?
福原先生
あります。ただし「かかりにくくなる」「かかっても軽症で済む」というのが、ワクチンの大きな効果です。海外の集団発生調査では、水痘ワクチンを2回接種した後に発症した水ぼうそうは発疹の数が少なく、全身症状も軽い「軽症例」が大半を占めており、重症化や入院に至るケースは極めてまれであると報告されています。ワクチンを受けていない場合、全身に強い発疹や高熱が出ることがありますが、接種済みの子どもの場合、発疹が少なく熱も軽度で済むケースがほとんどです。
編集部
なぜワクチンを打っていても発症するのでしょうか?
福原先生
ワクチンの効果は非常に高いですが、100%かからないわけではないからです。時間の経過による免疫の低下や、ウイルス量が非常に多い環境にさらされた場合には発症することがあります。ただ、繰り返しになりますが、免疫がしっかり“重症化を防いでくれる”ため、発疹の数や症状はワクチン未接種に比べて明らかに軽くなります。
予防接種をしてもかかってしまった!
編集部
ワクチン接種済みでかかった場合、どのような症状が出ることが多いですか?
福原先生
接種済みのお子さんは「軽症水痘」が多く、発疹の数が少ない、発熱の程度が軽い、ぐったりしにくいといった特徴があります。発疹が水ぶくれにならず、小さな赤い点のまま治ることも。保護者が「これが水ぼうそう?」と気づかないほど、症状が軽いこともあります。海外では、こうしたワクチン接種後の軽症水痘のことを「ブレイクスルー感染」と呼び、重症化が極めてまれであることも報告されています。
編集部
登園・登校はいつ再開できるのでしょうか?
福原先生
基準では「すべての発疹がかさぶたになったら」とされています。軽症の場合はかさぶたになるのも早いですが、みえにくい部分にも発疹が出るため、判断するのが難しいこともあります。安心を得るためにも、自己判断はせずに小児科で確認してもらいましょう。
編集部
家庭でできるケアはありますか?
福原先生
かゆみが強いと、かき壊して跡が残ることがあるため、爪を短くする、患部を冷やしてかゆみを和らげるなどが効果的です。また、高熱が続く・元気がない・発疹が急に増える場合は早めに受診してください。家族内感染が多いため、兄弟の様子もみておくとよいでしょう。

