
サケは自分が生まれた川へと戻ってくる。しかし、新潟県三条市を流れる「五十嵐川」には、サケだけではなく、11月になると毎年のように私が戻ってくるようになった。思い起こせば一昨年、念願の初サーモンを五十嵐川で仕留めた。去年はディープクランクで釣るという使命を帯びて、見事に4本ものサケを手中にした。そして今年、自分に課した使命は「ビッグベイト」。イトウやレイクトラウトなどをビッグベイトで狙うのはポピュラーだが、サケとなるとあまり耳にしない。ひょっとしてメディア初? その顛末は?
まずは日本のサーモンフィッシングについて
日本の河川ではサケを自由に釣ったりはできない。水産資源保護法によって、内水面のサケ釣りは原則として禁止されているからだ。でも、毎年秋になるといくつかの河川では「サケ有効利用調査」として、サケ釣りを楽しむことができる。新潟県の三条市を流れる「五十嵐川」も、そんな河川のひとつ。五十嵐川では6月中旬から募集を開始して希望者が定員を超えると抽選で調査員を決める。また、往復はがきで応募するというスタイルが、オールドスクール的で私は好きだ。
今年の日本はクマの出没が倍増しているが、サケの遡上数はそれに反比例するかのように、毎年激減している。五十嵐川もその例にもれず、今年はあまり振るわない。地元アングラーの丸山さんによると、11月1日の解禁以来、11月6日だけは20尾釣れたものの、その他の日は0~9尾という惨状だったという。その丸山さんに、今年はビッグベイトで挑戦してみるつもりだと伝えると、色良い返事が戻ってきた。
丸山さん「ビッグベイトは可能性ありますよ。地元のベテランアングラーも、ジョイクロ178を用意している人がいますから」
「次回はビッグベイトで挑戦しよう」と思い付いたのは去年、ディープクランクで釣るというミッションを達成した時だったが、やはり使っている人もいるようだ。でも、釣れたという話はまだ聞いていないし、記事も読んだことはない。当然釣ってる人もいるだろうが、今回私が釣ったら、メディアに掲載する取材では初めてになるかもしれない! ちょっとだけ武者震いを感じつつ、新潟へとハンドルを切った。
雨、寒さ、見えない魚影。話題はラーメン中心に。
小学生時代からの釣り友達「アイハラ」とは、JR三条駅前にある「旅館みなとや」で落ち合った。3年連続で利用しているので常宿と呼んでもいいだろう。そして翌朝、「鮭小屋」と呼ばれる事務所で、丸山さんと事務局長の大森さんに再会。参加するアングラーたちとルール説明を聞き、いざ五十嵐川で竿を振った。
とはいっても、いきなりビッグベイトを投げたわけではない。まずは手堅くディープクランクを投げて、様子を見ようと考えた。しかし、最初に入った鮭小屋前のポイントでは、例年なら川面の下にうっすらと、あるいははっきりとサケの魚影が見えるはずなのだが、今年は全く見えないのだ。ただでさえ冷たい雨を浴びて寒いのに、これでは精神的な体感温度が5℃くらいは低く感じられた。当然、集中力は続かず、いつしか私もアイハラも鮭小屋の中へ。
私「寒いから昼はラーメンかな?」
アイハラ「おととしカレーラーメンを食べた店に行きたいな」
私「大黒亭だっけ? またカレーラーメンか!」
アイハラ「いや、チャーシューメンを食べたい。なぜかというと、他の客がチャーシューメンばっかり頼んでいたんだよ」
丸山さん「三条はカレーラーメンだけではなく、背油をたっぷり入れた生姜醤油ラーメンもソウルフードなんですよ」
私「それも食いたいなあ」
もう、釣りは半ばあきらめムードなので、話題はラーメン中心だった。

