スライドスイマーに唯一のアタリが来た!
結局、3人とも大黒亭のチャーシューメンを食べて、午後は下流のポイントへ。私はいよいよビッグベイトも投入することにした。最初に選んだのは、DEPSのスライドスイマー175。メインボディーがインジェクションではない旧タイプだ。フックをシングルに付け替えて対岸近くまでキャスト! 最初は流れに乗せて、ゆっくりとただ巻き始める。下流でU字を切ってからは、トゥイッチを加えつつリーリング。川でビッグベイトを使ったのは初めてではない。使っていくうちに、そういえばS字系は流れのある場所に相性がいいということを思い出した。リップ付きに比べて抵抗が少ないので、急流の中でもアクションを崩さないのだ。しかもシングルフックなのでほぼ根がかりしない。たとえスタックしても、ラインを緩めれば下流へと流されて、簡単に外せるのだ。
昨年のディープクランクは、手前の浅瀬から1段階深くなるファーストブレイク付近でのヒットが多かった。だから、その辺りをルアーが通過すると、期待感が高まるのをどうにも抑えきれない。その期待に応えて、カツンというアタリが伝わってきた!
私「喰った!」
一瞬、魚の重みが乗った…と思ったが、フッキングしなかった。
アイハラ「ビッグベイトでも喰ってくるんだな」
私「ああ、間違いなく魚だったと思う」
しかし、初日はこのワンヒットで終わってしまった。明日もチャンスは1回くらいしかないかもしれない。鮭小屋に戻ると、事務局長の大森さんが寂しそうな表情で迎えてくれた。
私「今日の五十嵐川は、全員で何本くらい釣れたんですか?」
大森さん「残念ながら…ゼロなんです」
アイハラ「マジですか?」
この日、五十嵐川で竿を振ったのは13人。その中にはルアーマンだけではなく、手練のフライマンやエサ釣りの名手もいたのに、ゼロだったのだ。今回はだめかもしれない…。
アイハラの秘密兵器「海鱒スパイラル」が五十嵐川をこじ開けた!
2日目の朝、この日は急用で来れなくなった釣り人が出たりして、参加者はたったの6人。そのおかげで、朝イチから人気の下流エリアに入ることができた。私は、まずディープクランクで探りを入れたが、特に反応はない。でも、時たま遡上するサケを見かけることがあった。状況はよくなっている。相棒のアイハラは、ミノーやスプーンをメインにして投入したが、こちらも明確なアタリはない。会話はだんだん釣りから遠ざかって、またしてもラーメンの話題になった。これは、悪い兆候だ。
私「俺、本当は長岡の生姜醤油ラーメンを食べたいんだよね」
アイハラ「何それ? 美味しいの?」
私「旨いらしいんだよ。でもここから遠いんだよな。青島食堂」
丸山さん「あ、それめちゃくちゃ有名店ですよ」
アイハラ「でも2日連続ラーメンというのもなあ?」
私「そろそろ食べに行くか?」
アイハラ「いや、ちょっと試したいルアーがあるんだ。それを投げてからにしよう」
そういって、アイハラが結び替えたのは、かなり大きめならせん系のルアー。恐らく管釣り用だけど、大型魚をターゲットとしているサイズ感だ。ラーメン話の流れで出てきたので、この形状がちぢれ麵を想起させた。
アイハラ「これ、海鱒スパイラルの『ハンター』ってルアーなんだけど、形状記憶合金だから、でかい魚が掛かっても、元の形に戻るんだよ」
管釣り用のスパイラル系ルアーでサケを狙うのも、ある意味斬新だ。ところが、これがすぐに火を噴いたのだ!
アイハラ「おおっ! 今のアタリじゃないか?」
私「マジ?」
この時点で私は半信半疑だったが、その数投後に、早くも疑念は払しょくされた。
アイハラ「来た! 来た来た!」
アイハラのロッドは美しい曲線を描いた。サケがかかったのだ。しかもかなりの引きだ。下流へと逃げるサケを追いかけつつ、徐々に浅瀬へと導いて、一緒にいた丸山さんがネットに入れてくれた。76センチのオスだった。
アイハラ「やっぱり、さっきのはアタリだったな!」
丸山さん「これは、また新しいルアーのジャンルを開拓しましたね!」
アイハラ「テッペイ! じゃあ、ラーメン食べに行くか?」
私「いや、それどころじゃないだろう」
このまま自分だけオデコで終わるわけにはいかない。結局、アイハラと丸山さんに弁当を買ってきてもらい、私はここで釣りを続けることにした。

