ある日突然、あなたは急性骨髄性白血病(Acute Myeloid Leukemia:AML)です、といわれたら誰だって頭が真っ白になるでしょう。
白血病に対しては、いまだに治らない病気のイメージを持っている方もいるかもしれません。
しかし白血病の治療法はこの30年で飛躍的に改善され、今では治癒する方も決して珍しい病気ではなくなっています。
白血病という病気を知り、その治療法を理解し、よりよい予後を目指しましょう。

監修医師:
山本 佳奈(ナビタスクリニック)
滋賀医科大学医学部卒業 / 南相馬市立総合病院や常磐病院(福島)を経て、ナビタスクリニック所属/ 専門は一般内科
急性骨髄性白血病とは
急性骨髄性白血病は、血液中の血液細胞(赤血球・白血球・血小板など)のなかの白血球になる前の細胞(骨髄芽球)ががん化し、骨髄で無限に増えてしまう病気です。
血液細胞ががん化することで、赤血球・白血球・血小板が減少するため、貧血の症状が見られます。血小板の減少によって鼻血や歯茎からの出血、発熱・頭痛・関節痛などの症状が見られることもあるでしょう。
急性骨髄性白血病の特徴は、その名のとおり進行が早いことです。症状も突然あらわれるため、症状が見られたらできるだけ速やかに医療機関で診断を受けるようにしてください。
遅くなればなるほど、骨髄のなかの白血病細胞が増えていくため、できるだけ迅速に治療を開始することが望まれます。
急性骨髄性白血病の予後を決める要因
急性骨髄性白血病の予後は、さまざまな要因によって変化します。ここではその要因別に解説していきます。
患者さんの年齢
不治の病といわれていた白血病も、現在では治癒を目指して治療のできる病気になりました。特に65歳以下の患者さんの場合、およそ80%が完全寛解になり、そのうちの40%前後の治癒が期待されています。
治癒とは病気そのものが治ることを指しており、急性骨髄性白血病は治せる病気になっているということです。白血病全般にいえることとして、患者さんの年齢が若いほど、治癒の可能性は高くなります。一般的な年齢の区切りは、30歳・50歳・65歳・70歳といわれています。
65歳以上の急性骨髄性白血病の患者さんの場合、完全寛解率は60%台であり寛解しても再発することが少なくなく、治癒の期待はあまり持てないのが現状です。
75歳以上の患者さんの場合は治癒を望むことが難しいケースが多く、患者さんのQOLに配慮した治療を行います。
造血幹細胞移植の治療を行う場合、40歳以下の患者さんは副作用に耐えられますが、50歳以上になると厳しいケースが少なくありません。しかし、近年では55歳でも体力があり、移植に耐えられる方も増えています。
全身状態
治療の開始が遅れると、血液中の白血球が急速に増加していきます。病気が進行すれば、脾臓・肝臓・リンパ節などが肥大し、臓器への浸潤が見られるようになります。急性骨髄性白血病は進行の早いことが特徴です。
浸潤は皮膚や脳髄膜などへと進んでいき、頭痛といった症状が見られることもあります。貧血症状や紫斑など、全身の症状が広がってからの治療の場合は、それだけ白血病細胞を駆逐するのに時間がかかります。
合併症の有無
急性骨髄性白血病に多い合併症は感染症と出血です。抗がん剤の使用によって粘膜障害を引き起こすケースも多く、消化管粘膜のびらんを起こすことや、肺炎や敗血症を起こすこともあります。
症状が進むと免疫が落ち、感染症が抑えられず命を落とすケースもあり、注意が必要です。
白血病細胞の特徴
白血病細胞とは、血液細胞になる前の細胞や、造血幹細胞ががん化したものです。白血病細胞が増えていくと、正常な血液細胞が作られなくなるため、貧血といった症状を引き起こします。
また白血病細胞が増えることで正常な白血球が減少し、感染症を引き起こすこともあります。白血病細胞は増殖する速度がとても早いのが特徴です。
治療の効果
治療の効果は年齢によってかなり差があります。基本的に、薬物療法・化学療法・造血幹細胞移植すべてにおいて、年齢が若い方が治療の効果が高いことがわかっています。65歳未満の場合完全寛解率はおよそ80%です。
65歳以上の場合60%台と寛解率が下がり、再発も見られるようになります。75歳を超えると抗がん剤に対して体力的にもたないことが少なくないため、積極的な治療ではなく、QOLを考慮した緩和ケアに切り替わるケースがほとんどです。

