人工肛門(ストーマ)のケア方法
装具交換の手順と皮膚の清潔
まずは新しいストーマ装具、ぬるま湯を含ませたガーゼや不織布、乾いたガーゼや不織布、必要に応じて皮膚保護剤、ハサミ、ゴミ袋などを用意します。交換前に手を洗いましょう。次に皮膚を押さえながら、ゆっくりと面板を剥がします。剥がしにくい場合は、専用の剥離剤を使用すると皮膚への刺激を軽減できるため、お勧めです。次にストーマ周囲の皮膚の清拭・洗浄を行います。ぬるま湯を含ませたガーゼなどで、ストーマ周囲の皮膚についた便や汚れを優しく拭き取ります。石鹸を使用する場合は、刺激の少ない弱酸性のものを選び、よく洗い流してください。ゴシゴシ擦ると皮膚を傷つける原因になるので注意しましょう。洗浄後、乾いたガーゼなどで優しく押さえるようにして水分を拭き取ります。皮膚が十分に乾燥していることが、新しい装具をしっかり密着させるためのポイントです。ストーマの色や形、ストーマ周囲の皮膚に赤み、ただれ、かゆみ、出血などがないかを確認します。異常があれば、医師や看護師に相談しましょう。面板の穴をストーマの大きさと形に合わせてカットします。穴が大きすぎると便が皮膚に付着し、小さすぎるとストーマを傷つける原因になります。ストーマの根元に2〜3mm程度の余裕を持たせるのが目安です。必要に応じて、皮膚保護剤を塗布します。面板の剥離紙を剥がし、ストーマ孔と面板の穴を合わせ、しわが寄らないように丁寧に貼り付けます。特にストーマの根元をしっかり密着させることが重要です。貼付後、手で数分間温めるように押さえると、より密着しやすくなります。
臭いや汚れをキレイに落とす
パウチ内にあらかじめ消臭潤滑剤を入れておくことで、便の排出をスムーズにし、臭いを軽減する効果があります。パウチにガスが溜まった場合は、ガス抜きフィルター付きの装具を使用するか、トイレで適切にガスを排出します。ニンニク、ニラ、タマネギ、豆類、炭酸飲料など、ガスを発生しやすい食品や臭いの強い食品の摂取量を調整することも有効です。ただし、過度な食事制限は栄養バランスを崩す可能性があるため、医師や栄養士に相談しましょう。便臭が気になる場合は、装具がしっかり密着しているか、破損がないかを確認してみてください。
皮膚トラブルの予防と対処
ストーマ周囲の皮膚は、便や尿、粘液、汗、装具の粘着剤などによる刺激を受けやすいため、皮膚トラブルが起こりやすい場所です。毎日の装具交換時に、皮膚の状態をよく観察しましょう。ストーマの形状や大きさに合った装具を選び、正しく装着することが最も重要です。面板の穴の大きさが適切でないと、皮膚トラブルの原因になります。皮膚の状態に合わせて、パウダー状、スプレー状、ペースト状、シート状などの皮膚保護剤を適切に使用することで、皮膚への刺激を和らげ、保護することができます。赤み、かゆみ、ただれ、痛み、出血などの異常を見つけたら、自己判断せずに早めに医師や皮膚・排泄ケア認定看護師に相談しましょう。適切なアドバイスや治療を受けられます。
人工肛門(ストーマ)をつけた後に日常生活で注意するべきこと
食事について
基本的に食事制限はありません。様々な食品をバランス良く摂ることが大切です。消化を助け、腸への負担を軽減するために、一口ずつよく噛んでゆっくりと食事をしましょう。
冷たい飲み物、アルコール類、香辛料の多いもの、脂質の多いものなどは下痢を起こしやすいので、ストーマ排液が緩いときは避けるようにしましょう。海藻、きのこ類などは食物繊維が多く、水分摂取が少ないと便秘の原因になることもあるので、よく噛んで摂取することが勧められます。豆類、イモ類、キャベツ、タマネギ、炭酸飲料などはガスの原因になるので気になるときは摂取を抑えてみてはいかがでしょうか。
ニンニク、ニラ、アスパラガス、香辛料などは臭いを強くする可能性があるので、気になるときは控えましょう。以上のように、これらの食品を全く食べてはいけないということではありません。ご自身の体調や便の状態を見ながら、摂取量や頻度を調整しましょう。
また、特にイレオストミー(小腸ストーマ)の方は、水分が失われやすいため、意識して水分を多めに摂るようにしましょう(1日1.5〜2リットル程度が目安)。
入浴について
ストーマ装具は防水性があるため、装着したまま入浴やシャワーが可能です。ただし、入浴前にパウチ内の便は空にしておきましょう。ストーマが落ち着いていれば、装具を外して入浴することもできます。ただし、入浴中に排便がある可能性も考慮し、タイミング(食後すぐを避けるなど)や入浴後の処理について準備しておくと安心です。装具をつけたまま入浴した場合、面板の周りが濡れることがあります。タオルで優しく水分を拭き取り、必要であればドライヤーの冷風で短時間乾燥させると、面板の粘着力が長持ちします。装具を外して入浴した場合は、皮膚をしっかり乾燥させてから新しい装具を装着します。
運動・スポーツについて
体調が安定していれば、ウォーキングや水泳など、多くのスポーツを楽しむことができます。適度な運動は体力維持や気分転換にも繋がります。腹筋運動やウェイトリフティングなど、強い腹圧がかかる運動は、ストーマヘルニアの原因になる可能性があるため、事前に医師や看護師に相談しましょう。ラグビーや柔道など、身体が激しく接触するスポーツは、ストーマを傷つけるリスクがあるため注意が必要です。保護具の使用や、医師との相談が不可欠です。
仕事・学業・社会生活について
手術後、体力が回復すれば、多くの方が以前と同様に仕事や学業に復帰しています。必要に応じて、上司や同僚、先生にストーマについて説明し、理解と協力を得ることも大切です。トイレの場所や、装具交換ができるスペースの確保などについて相談できると良いでしょう。ストーマが目立たないように、また締め付けないような服装を工夫することで、より快適に過ごせます。ゆとりのあるデザインの服や、ハイウエストのボトムス、柄物の衣服などがおすすめです。専用の下着やサポート製品もあります。

