日中の頻尿や夜間のトイレの回数が増えると、「歳のせい」などと思いがちですが、じつは腎臓の機能低下が関係していることがあるのだそうです。では、腎臓の病気でどのように尿が変化するのでしょうか? 日本腎臓学会腎臓専門医の本田先生(ほんだ内科クリニック)に詳しく話を聞きました。
※2025年10月取材。
≫【1分動画でわかる】腎臓が悪い人の尿の特徴とは?
監修医師:
本田 和也(ほんだ内科クリニック)
福島県立医科大学卒業。その後、福島県立医科大学 会津医療センターで初期臨床研修を経て、日本赤十字社医療センター腎臓内科勤務。東北医科薬科大学助手、福島県立医科大学 会津医療センター教員、同院助教を歴任。2024年7月だてクリニックを承継し、同年10月より医療法人社団陽和会ほんだ内科クリニック理事長・院長に就任。日本内科学会認定内科医・総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本腹膜透析医学会認定医、医師少数区域経験認定医師。
腎臓と尿の関係って? 医師が解説!
編集部
腎臓はどんな働きをしている臓器ですか?
本田先生
腎臓は血液をろ過して老廃物を尿として体外に排出し、水分や塩分のバランスを整える臓器です。また、血圧を調整したり、赤血球を作るホルモンを分泌したりと、全身の健康に深く関わっています。腎臓の機能が低下すると、体内の老廃物が溜まり、さまざまな症状を引き起こすことがあります。
編集部
多尿もその1つですか? 多尿とはどのような状態を指すのでしょうか?
本田先生
1日の尿量が2.5リットルを超える場合、多尿とされています。単なる水分の摂り過ぎだけでなく、糖尿病や慢性腎臓病などが原因のこともあります。特に夜間の多尿は腎臓のろ過機能が落ちているサインであることが多く、注意が必要です。
編集部
それはなぜですか?
本田先生
腎臓の機能が低下すると、尿を濃縮する力が弱まり、薄い尿がたくさん出るようになります。その結果、日中に摂取した塩分を日中のうちに排出できず、夜になっても尿として排泄しようとするため、夜間の尿が増える、いわゆる「夜間頻尿」が起こりやすくなるのです。
編集部
多尿と頻尿は違うのですか?
本田先生
はい。頻尿は「回数が多い」状態で、必ずしも尿量が多いわけではありません。一方で多尿は「尿そのものの量が多い」「1回の量が多い」状態を指します。例えば、頻尿は膀胱の問題、多尿は腎臓やホルモンの異常で起こることが多いです。両者を混同せず、原因を見極めることが大切です。もちろん、併発するケースもあります。
編集部
腎臓の不調で、尿の量が減ることはありますか?
本田先生
そうですね。腎臓のろ過機能がさらに低下すると、尿が減ることがあります。1日の尿量が400ml未満になると「乏尿(ぼうにょう)」と呼ばれ、急性腎障害や慢性腎不全の末期の可能性があります。
腎臓が悪い人の尿の特徴とは?
編集部
腎臓が悪くなると尿はどのように変化しますか?
本田先生
腎臓が悪いと、尿が泡立ったり、色が濃くなったり、逆に極端に薄くなったりすることがあります。泡立ちは尿中にたんぱく質が漏れているサインで、腎炎の可能性があります。また、血尿が混じることや、においが変化することもあり、見逃さないことが大切です。
編集部
尿のにおいが変化することもあるのですか?
本田先生
そうですね。よく書籍などには、腎臓の働きが落ちると老廃物がうまく排出されず、尿のにおいが変化すると記載されています。具体的には、甘いにおいやアンモニアのような強いにおいの尿になることもあり注意が必要、とは言われていますが、実際に尿のにおいで異変に気づくことは稀だと思います。
編集部
多尿以外に腎臓病を疑うサインはありますか?
本田先生
むくみ、疲れやすさ、食欲不振、息切れ、かゆみなどが代表的ですが、腎臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるほど初期症状が乏しいため、尿の変化が最初のサインになることが多いです。尿検査をはじめとする、定期的な健康診断などが早期発見の鍵になります。

