食道がんは早期には症状が出にくく、進行するまで気づかれないことがあります。これらを正確に確認するために最も有効なのが、食道を直接観察できる胃カメラ(上部消化管内視鏡)です。今回は、食道の病気とその発見に欠かせない胃カメラ検査の流れについて、医師の坂口先生(大塚駅前消化器内視鏡クリニック)に伺いました。
※2025年12月取材。
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監修医師:
坂口 賀基(大塚駅前消化器内視鏡クリニック)
東京大学医学部医学科卒業。その後、東京大学医学部附属病院消化器内科助教などを経て、2024年4月、東京都豊島区に「大塚駅前消化器内視鏡クリニック」を開院。東京大学医学部附属病院開設以来、現在までに実施された早期咽頭・食道・胃・大腸がんに対する内視鏡治療を最も多く実施・指導した実績があり、各種消化器がんに対する内視鏡診療における中心的な役割を担ってきた。医学博士。日本内科学会内科認定医・指導医、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医・指導医、日本消化器病学会消化器病専門医・指導医、厚生労働省認定難病指定医。
知っているようで知らない?! 食道の病気
編集部
食道の病気にはどんなものがありますか?
坂口先生
食道の病気には、逆流性食道炎、バレット食道、食道アカラシア、食道裂孔ヘルニア、そして食道がんなどがあります。軽い胸焼けから始まるものもあれば、進行するまで気づきにくい病気もあります。まずは食道でどんな病気が起こり得るのかを知ることが、早期発見の第一歩になります。
編集部
代表的なものについて、もう少し詳しく教えてください。
坂口先生
最も身近な疾患は逆流性食道炎です。これは、逆流した胃酸が食道粘膜を傷つけ、炎症を引き起こす疾患を指します。胸焼けやのどの違和感、咳が続くこともあります。慢性的に続くと粘膜が変化し、バレット食道という前がん病変につながることもあります。日常的な不調として見過ごさないよう、注意が必要です。
編集部
食道がんについてはどうでしょうか?
坂口先生
食道がんは飲酒・喫煙、慢性的な逆流などがリスクになります*1。進行するとつかえ感や胸の痛み、やせなどの症状が出ますが、早期の段階ではほとんど症状がありません。そのため、症状が出てから受診すると進行しているケースが多く、早期発見がやや難しい病気です。
編集部
早期に気づくにはどうしたらよいでしょうか?
坂口先生
定期的に内視鏡で粘膜を直接確認することが大切です。胸焼けが続く人、逆流を繰り返している人、飲酒・喫煙の習慣がある人は特に注意が必要です。気になる症状がなくても、1度は検査を受けて状態を把握しておくことをおすすめします。
痛い? 苦しい? 食道の内視鏡検査
編集部
食道の状態を詳しく調べるには、どんな検査を行うのですか?
坂口先生
「食道の検査」というと馴染みがないかもしれませんが、要は上部消化管内視鏡、いわゆる胃カメラです。口(または鼻)から細いスコープを入れ、のどから食道、胃、十二指腸までを順に観察します。粘膜の色調やわずかな凹凸の変化なども確認でき、気になる部分があればその場で組織を採取することも可能です。
編集部
胃カメラは「つらい」「苦しい」というイメージがあります。
坂口先生
近年はスコープが細く柔らかくなり、従来より負担が軽くなっています。また、鎮静剤を使うことで眠っているような状態で検査を受けられるため、「気づいたら終わっていた」という人も多いです。不安がある人は事前に相談していただければ、より楽に受けられる方法を提案できます。
編集部
経鼻内視鏡と経口内視鏡では、どのような違いがありますか?
坂口先生
経鼻は鼻から挿入するため、のどを刺激しにくく、えずきが起きにくいのが利点です。一方、経口は少し太い分だけ画質がよい機種もあり、より詳細な観察に向いています。当院では検査目的や患者さんの希望に応じて選択し、どちらでも安全で的確な観察ができるよう工夫しています。
編集部
鎮静剤を使う場合と使わない場合で違いはありますか?
坂口先生
鎮静剤を使用すると、リラックスした状態で検査を受けられ、恐怖心や不快感が大きく減ります。一方、使用しない場合は検査後すぐに日常生活へ戻れるメリットがあります。持病や予定、希望を踏まえて、どちらが適しているか事前に相談しながら選んでいきますし、途中で「やっぱり痛いので」と、薬を使うことも可能です。

