尚子の逆ギレと脅しに絶望する美智。しかし、夫の照也が反撃に出る。法的手段や証拠の存在を突きつけ、保険の不正請求が犯罪であることを冷静に指摘。理詰めの交渉により、ついに尚子に非を認めさせ、弁償を約束させる。
夫が替わり、対応してくれることに
「ガチャ、ツーツーツー」
尚子に電話を一方的に切られ、私はその場に立ち尽くしました。
「脅されている」なんて言葉が返ってくるとは思ってもいなくて、頭が真っ白になってしまったのです。
震える手でスマホを握りしめていると、帰宅した照也が私の様子に気づき、静かに事情を聞いてくれました。
「……分かった。美智、もう君が一人で抱える必要はないよ。僕から連絡する」
照也の声は落ち着いていましたが、その瞳の奥には静かな怒りがにじんでいました。
彼はその夜のうちに尚子へメールを送りました。
それは感情に任せた抗議ではなく、驚くほど事務的で、逃げ場を塞ぐような最後通告でした。
夫が送った“最後通告”のメール
『尚子さん、夫の照也です。先ほど美智から話を聞きました。
話し合いを拒絶し、さらに「脅迫」という虚偽の事実を周囲に広める示唆をされたとのこと、非常に遺憾に思います。
今回の件についてですが、当方の火災保険(個人賠償特約)は、あくまで「被保険者が加害者になった場合」に適用されるものです。今回のように、他人が壊した物を自分の保険で請求する行為は虚偽申告にあたり、詐欺と見なされる可能性があります。
つきましては、以下の対応を提案いたします。
・修理見積額14万8千円の全額賠償
・支払いが困難な場合は、分割払いの相談に応じます
もし上記を拒否される場合は、法的手続き(少額訴訟)を検討します。
その際は、当日の一部始終を記録した防犯カメラ映像(ペット見守り用)を証拠として提出する予定です。』

