心臓病は突然発症するイメージがありますが、実際には小さなサインが表れていることが多くあります。果たして、どんなサインがあるのでしょうか? 今回は、かわぐち心臓呼吸器病院の心臓血管外科専門医・金森太郎先生に、心臓病の前兆や早期発見のポイント、そして発症後の運動との向き合い方について聞きました。
※2025年11月取材。

監修医師:
金森 太郎(かわぐち心臓呼吸器病院)
金沢大学医薬保健学域医学類卒業。2000年同大学附属病院心肺・総合外科(現・心臓血管外科)入局。千葉西総合病院、イムス葛飾ハートセンター勤務を経て、現職。マルファンネットワークジャパンアドバイザー。医学博士、日本外科学会外科専門医、心臓血管外科専門医認定機構心臓血管外科専門医・修練指導者、日本低侵襲心臓手術学会低侵襲心臓手術(MICS)指導医、胸部・腹部ステントグラフト実施医・指導医。
心臓病の基礎知識
編集部
心臓病とはどんな病気を指すのですか?
金森先生
心臓病は、心臓の構造や機能の異常によって起こる病気の総称です。代表的なものには心不全、狭心症、心筋梗塞、心臓弁膜症、不整脈、心筋症などがあります。
編集部
心臓病になる原因を教えてください。
金森先生
多岐にわたりますが、加齢や生活習慣病(高血圧・糖尿病・脂質異常症)、感染症、さらには喫煙、ストレス、運動不足などが主な要因です。一つではなく、複数の要因が相互に影響しあっているケースも多くあります。また、遺伝や体質、薬の副作用が関与する場合もあります。
編集部
遺伝の影響もあるのですか?
金森先生
あります。心筋症や不整脈、脂質異常症の一部には遺伝子異常が関係します。親族に若くして心臓病を発症した人や突然死した人がいる場合は、早めに心臓の検査を受けておくと安心です。
編集部
「特に注意が必要な人」がいるのですね。
金森先生
そうですね。ただし、これはあくまでも「傾向」です。例えば、加齢とともに発症者は増えますが、最近は中年層の心臓病患者も増えています。特に、運動不足やストレス過多、偏った食生活の人はリスクが高く、健康診断で血圧やコレステロールの異常を指摘されたら注意が必要です。
心臓病の前兆・初期症状
編集部
心臓病には、どんな初期症状があるのでしょうか?また、発症する前兆があれば教えてください。
金森先生
動悸(どうき)や息切れ、胸の圧迫感、疲れやすさが代表です。軽度だからと放置していると進行することがあります。めまい、冷や汗、吐き気などの全身症状や足のむくみが見られる場合は要注意です。心当たりのある人は放置せず、医療機関を受診しましょう。
編集部
動悸や息切れ、むくみだけだと病院へ通うことを躊躇(ちゅうちょ)してしまいます。
金森先生
そういう考えの人はとても多いですね。いずれの症状も加齢による体力低下と混同されやすく、「年のせい」「普段運動していないから」と自己判断してしまい、受診が遅れるケースを数多く見ています。「以前より歩くのがつらい」「階段の昇り降りがきつくなった」と感じたら、心機能が低下している可能性があるため、医療機関を受診することをおすすめします。
編集部
どのタイミングで受診すべきですか?
金森先生
違和感を自覚した時点で受診してください。心電図や心エコー(心臓超音波検査)で早期に異常を確認できれば、重症化を防ぐ、または遅らせることが期待できます。症状が出てからでは治療の選択肢が限られてしまったり、治療そのものが難しくなったりする場合もあるため、「気のせい」と思わず検査を受けましょう。
編集部
検査はどのようにおこなうのですか?
金森先生
まずは、問診で病歴や生活歴、家族歴などを聞きます。その後、血圧、脈拍などの基本的な検査や心エコーで、心臓の動きと血液の流れを確認します。ほかにも心電図、レントゲン、血液検査などを組み合わせて原因を特定します。体に負担の少ない検査が多いので、安心して受けていただけます。

