“選ぶ”ことが、味になる

「自分では炊いてへんけど、選ぶ目には自信あるよ」店主はそう言って笑う。
塩梅、風味、食感——それぞれの“持ち味”を見極めた上で、“いいとこどり”のセレクトをしている。仕入れ先は、長年信頼している加工店ばかり。自家製ではなくても、味にはこの店ならではの筋が通っている。

量り売りやパック詰めの佃煮は、注文ごとに丁寧に空気を抜き、紙袋へと包まれていく。作業の一つひとつに、気負いのない職人の所作がにじんでいた。
半世紀を超えて、変わらぬまなざし

店主が大阪に出てきたのは、中学を卒業した昭和37年。最初に働いたのは、布施・公設市場にあった昆布屋だった。義兄の店を手伝うようになり、それがいつしか自分の店になった。
この場所で、昆布を見つめ続けて、もう50年以上。目立たないけれど、なくてはならない——そんな店が、ここにはある。
