子どもの「叱られたくない」という咄嗟のウソが、親の過保護と合わさって、怪物のようなデマに成長してしまいました。秋穂さんの「園の外で返す」という配慮さえも、悪意を持って利用される理不尽さに、いきどおりを感じます。
一難去ってまた一難
美緒ちゃんから、強引にわたされた大量のシール。
秋穂は悩んだ末、園内ではなく、お迎え後に園の外に出てから返すことにしました。
数日後、美緒ちゃんがあずかり保育を利用せず、祖母がお迎えに来る日をねらって、秋穂は園の門を出たところで、美緒ちゃんにシールを返却しました。
「美緒ちゃん、これ、幼稚園には持ってきちゃダメだよ」
美緒ちゃんは、下を向いて、ちょっとムスッとした表情をしましたが、せっかくもらったお礼として、ユリの持っている数枚のシールをわたすと、くるりと向きを変え、おばあちゃんの元へとかけよっていきました。
これで終わるはずでした。
しかし、その翌日、おさななじみの紗奈から、驚愕の電話が入りました。
「秋穂! 美緒ちゃんママのLINEグループで、あんたが”シールを持ってこないと絶交する”って美緒ちゃんをおどしたトラブルメーカーだって、言いふらされてるよ!」
血の気が引きました。
娘を使って怒られないように逃げた友だち
実はその日、美緒ちゃんは、別の子にもシールをわたそうとしていたそうです。
ですが、かくし持っていたシールが、おべんとう箱の下から見つかり、先生にこっぴどく叱られていたのです。
園から親へ連絡が入り、問い詰められた美緒ちゃんは、おこられるのを恐れて、真っ赤なウソをつきました。
「ユリちゃんに、シールを持ってこないと絶交するって言われたの…。だからこわくて持っていったの…。ユリちゃんママにもね、お迎えの時にそう言われたの…」
自分の娘の執着を知らない美緒ちゃんの母親は、そのウソをうのみにしました。
「あんなに良い子が、ウソをつくはずがないわ。わるいのはユリちゃんママよ!」
こちらの誠意ある対応すら利用し、秋穂親子をわるものに仕立て上げたのです。

