傍観者ではいられない
その夜…まよった末、私は拓也にも連絡を入れた。正直、ふるえていた。でも、止められるのは今しかないと思った。
「電話なんてめずらしいね、どうした?」
いつもは話しやすく感じる拓也の口調も、今はいら立つ要素でしかなかった。
「突然ごめん。里奈と拓也の友人として、2人のことが大切だから言うね」
そう前置きして、私は深く息を吸った。そして、淡々と伝えるべきことを伝えた。
「里奈から、拓也との関係とかトラブルのこと聞いてる。お互いに家庭があるよね?2人の都合で家族を巻き込まないで。特に、子どもたちのこと…ちゃんと考えて」
淡々と話しつつも、自分でも分かるほど、その語気には静かで強い憤りが感じられた。拓也はだまったままだった。
「もし、2人が本気で一緒になるって言うなら…せめて、筋を通して。きちんと整理してからにして…」
そう言い切った後、しばらくの沈黙が続いた。
余計なことした?友だちをうらぎった?でしゃばりすぎた?そんな不安が込み上げてくる。でも、何もしないほうがもっと後悔する気がした。
鼓動が落ち着き始めたちょうどその時、拓也の声が沈黙をやぶった。
「……ごめん、ちゃんと考える」
私は通話を切った。スマホを置くと、一気に力が抜けて、興奮が冷めていく。「やるべきことは、した」そう思いたい。
でも、2人との関係は、もう前と同じじゃないかもしれない。
もしこれで、縁が切れたら?10年来の友人…。子ども同士のつながり。全部、こわれるかもしれない。
くらい部屋で、私は静かに泣いた。
私の行動が正しかったのかは、正直、分からない。でも、もう傍観者ではいられなかった。この先、2人がどんな形になるのか、想像するのがこわかった。
あとがき:介入する勇気と、その代償
友人の問題にどこまでふみ込むべきか。止めることで関係がこわれるかもしれない。けれど、何も言わなければ、もっと大きな傷を残すかもしれない。
正義感なのか、ただの自己満足なのか─その境界線は簡単には分かりません。それでも奈緒は傍観者でいることを選びませんでした。大人の友情は、ときにきびしさを伴います。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています。
記事作成: tenkyu_writing
(配信元: ママリ)

