奈緒は、里奈と拓也に本気で向き合い、「筋を通して」と強く訴えた。2人は「軽率だった」と認め、きちんと考えることを約束する。
友人たちからの「呼び出し」
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あれから、しばらく連絡はなかった。里奈からも、拓也からも。静かすぎて、逆にこわかった。
──私が余計なことをしたせいで、全部、こわれたかもしれない。
そんな考えがよぎるたび、胸がおもくなった。
ある日、里奈からメッセージが届いた。
「奈緒、今度ご飯行ける?」
短い一文。絵文字もない。私は少しまよってから、「いいよ」とだけ返した。
当日、指定された店に入ると、そこにいたのは里奈と拓也だった。
おもい空気の中、どこか覚悟を決めたような静けさがあった。まず口を開いたのは、拓也だった。
「奈緒…この前はありがとう。俺たち、ちゃんと話したんだ」
すると、里奈が続けて話し出した。
「中途半端なまま続けるのはちがうって…だから──」
緊張が高まり、私はゴクリとつばを飲んだ。
「お互い、離婚してから向き合うことにした」
「順番だけは、まちがえない」
言葉が、ゆっくりと落ちてくる。
私はすぐには反応できなかった。落ちてきた言葉を咀嚼(そしゃく)して、少しずつ飲み込む。そして、2人の表情を見ながら、ゆっくりと言葉を選んだ。
「……本気なんだね」
自分でもおどろくほど、静かな声だった。里奈はうなずく。
「逃げ道にしない。ちゃんと一人になってからにするって決めた」
続けて、拓也も言う。
「順番だけは、まちがえない」
その言葉に、私は少しだけ肩の力を抜いた。肯定も否定も、私にはできない。でも──
「分かった。ただ、子どもたちのことを最優先で考えてほしい。感情だけで突っ走らないで。大人として責任はちゃんと取って」
私の言葉に、2人は同時にうなずいた。2人の間に、以前のような高揚感はなかった。むしろ、おもたい覚悟。それがテーブル越しに伝わってきた。

