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私立高講師だった漫画原作者の「性加害」訴訟、札幌地裁が認定した「事実」あらためて振り返る

私立高講師だった漫画原作者の「性加害」訴訟、札幌地裁が認定した「事実」あらためて振り返る

札幌市内の私立高校で講師をつとめていた漫画家の男性(50代)から性被害に遭い、精神的苦痛を受けたとして、元生徒の女性(20代)が損害賠償を求めた裁判は、一審判決が不服として原告・被告双方が控訴したことで札幌高裁へと舞台を移すことになった。

一方で、男性が原告女性に関する児童ポルノ禁止法違反で略式命令を受けたことを知りながら、小学館が別のペンネームで男性の起用を続けていたことも明らかになり、批判は出版業界にも広がった。同社は第三者委員会の設置を決めるなど、波紋はいまも収まっていない。

また、一部では原告女性に対するバッシングもみられるなど、問題が大きくなるにつれ情報も錯綜している。

札幌地裁は判決で、何を「事実」として認定したのか。あらためて判決を振り返る。(弁護士ドットコムニュース編集部・猪谷千香)

編集部注:この記事には性加害の内容が含まれます。お読みになる際には十分ご注意ください。

●原告女性に男性は何をしたか

札幌地裁は判決で、原告女性が高校生だった際に受けた行為を次のように認定している。

原告女性は高校入学後、男性が担当する授業に出席し、話すようになった。 男性は原告女性を車で自宅まで送るようになり、車内で当時高校1年生だった原告女性にキスをして、身体を触った。 その後、男性は原告女性を校外で会うよう誘い、ホテルで性行為に及んだ。 その後も関係は続き、男性は父親のようにふるまいながら、「おしおき」などと称して、自ら要求する態様の性行為をすることがあった。 関係を続けていくうちに、男性は原告女性に自分の排泄物を食べさせた。こうした行為により、原告女性は嘔吐が止まらず、ベッドでのたうちまわることもあった。 男性が原告女性の身体に「奴隷」「ペット」などと落書きして撮影する行為もあった。 原告女性は大学進学後、幻聴や幻視などをうったえて通院を続け、高校生の時に男性から受けていた行為による心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断された。

●札幌地裁は何を「違法」と判断したか

札幌地裁は、こうした性的行為により、原告女性がPTSDを発症したと認定したうえで、次のように述べている。

「このような性的行為がただちにすべて違法となるということはできないが、心身への悪影響が生じうることに照らせば、このような性的関係については、原告自身が、当該行為が自身の心身に及ぼす影響を十分に考慮したうえで、これを行うかどうかを自らの責任で自由に判断することが前提というべきである」

「原告は被告と性的行為をした当時、未成年だったのであって、上記判断をする能力が十分であったとはいえない」

また、原告女性と男性の関係についても次のように述べている。

「原告と被告は本件学校の生徒とその授業を担当する教員という関係にあり、かつ、被告は原告よりも30歳も年上だったのであるから、原告と被告との人間関係は、被告が原告に対して優位に立つものであった。

したがって、原告が、被告との関係で前記の判断を自由にすることは、より一層困難を伴うものであったというべきである」

そのうえで裁判所は、男性について

「原告の判断能力の未熟さ、両親に対する原告の葛藤や自己肯定感の低さに便乗し、自らが優位に立つ関係を形成しながら、その性的要求に応じさせていたと認めることができる」

と指摘し、原告女性の性的自己決定権を侵害したとして、違法であると結論づけた。

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