●小学館の編集者はこの事件にどう関わったのか
この判決では、男性が漫画の原作者として連載していた小学館の漫画アプリ「マンガワン」との関わりについて、次のような事実が認定されている。
原告女性が警察に男性から性被害を受けていたと伝えた。警察は男性を逮捕した。 男性は原告女性に対する児童ポルノ禁止法違反罪で罰金30万円の略式命令を受けた。 原告女性は、男性と小学館マンガワン編集者をまじえて、LINEグループで、男性が原告女性にした行為に関する紛争の和解に向けて協議をした。 協議の中で、編集者は、原告女性と男性に対し、「示談金150万円を支払うこと」「男性の逮捕により休止していた小学館の媒体での漫画連載を再開することについて中止要求を撤回すること」「口外禁止」などの内容を公正証書として作成することを提案した。 原告女性は、漫画の連載を再開する際には、休載が逮捕を理由にするものであることを公表することを条件にしてほしいと主張。男性はこれを拒否した。 その後、編集者は、弁護士から和解に関する書面の作成方法について説明を受け、原告女性と男性に伝えた。 男性は、協議の内容に基づき、「男性が原告女性と交際していた件およびその交際から派生したすべての件に対する和解金として150万円の支払い義務がある」「原告女性は男性が和解金を支払った場合は、執筆活動につき一切の制約を求めないこと」「原告女性と男性はこの和解内容について第三者に口外しないこと」などの和解書案をまとめ、原告女性に押印を求めた。 原告女性はLINEグループで、和解書案の内容では「原告女性が男性の犯罪について今後一切の口出しができなくなる」「原告女性には公表する権利と自由がある」などとして署名をしないことを回答した。その後も、原告女性は和解書に署名や押印をしていない。●SNSでは小学館に批判、第三者委員会設置の事態に発展
札幌地裁の判決では、男性の作家名が明らかにされていなかったこともあり、匿名で報道されていたが、SNS上では「マンガワン」で連載された『堕天作戦』の作者、山本章一氏であると広まった。
また、漫画『常人仮面』において、別名で原作者を続けていたことから、事件を知りながらも起用を続けた小学館に対する批判が高まった。
これを受け、小学館は2月27日、マンガワン編集部のアプリと公式サイト上で『常人仮面』の配信停止と、山本氏が児童ポルノ禁止法違反で罰金刑を受けたことを知りながらも起用を続けたことに対し、謝罪する文書を公表した。
ところが、小学館の公式サイトには何も掲載されなかったことや、金曜日夕方という日時での発表が、消極的な姿勢ととられ、SNSではさらに炎上した。
「マンガワン」編集者が原告女性に対し、事件について「口止め」をしていたとの報道などがあり、批判はさらに強くなった。
結局、小学館は3月3日、公式サイトで、この問題について第三者委員会を設置すると発表する事態にまで発展した。今後は、「マンガワン」編集者がどのように関与していたかなどについて、調査が実施される。

