バセドウ病の治療と経過についても知りたい!
編集部
バセドウ病の治療はどのようにおこないますか?
榎本先生
主に3つの方法があります。①抗甲状腺薬による薬物療法、②放射性ヨウ素(アイソトープ)内用療法、③手術(全摘出もしくは亜全摘出術)です。初期治療としては薬物療法を選ぶことが多く、2〜3年かけてホルモンのバランスを整えます。
編集部
薬だけで治る人も多いのでしょうか?
榎本先生
はい、大多数の人は薬でコントロールがつきますが、薬から卒業できる(寛解/かんかい)のは3~4割です。治療終了後も再発することがあります。再発や薬の副作用が強い場合には、放射性ヨウ素治療や手術を検討します。
編集部
日常生活で注意すべきことはありますか?
榎本先生
喫煙は症状を悪化させる大きな要因です。特に目の症状(甲状腺眼症)を悪化させやすいので、禁煙することが重要です。また、ストレスや睡眠不足も免疫異常を助長するため、規則正しい生活を心がけてください。
目の症状「甲状腺眼症」は元に戻るの?
編集部
バセドウ病の人の中には、目が飛び出すように見える人もいます。これはなぜ起こるのでしょうか?
榎本先生
「甲状腺眼症」と呼ばれる状態で、自己免疫反応が眼の奥にも及ぶために起こります。眼窩(がんか)内の脂肪や筋肉が腫れて、目が前に押し出されて見えるのです。ひどい場合はまぶたが閉じにくい、物が二重に見えるといった症状が出ます。
編集部
目が飛び出てきたら、治療で元に戻るのでしょうか?
榎本先生
軽症であれば、バセドウ病自体のコントロールによって自然に改善することもあります。ただし、炎症が強く組織が線維化(組織が炎症や損傷を受けた後、線維組織が異常に増殖・蓄積して硬くなる現象)してしまうと、元に戻すのは難しくなります。ステロイド治療や放射線外照射療法で炎症を抑え、必要に応じて眼の奥の“脂肪を取る”もしくは“骨を削る”減圧手術をおこなうこともあります。最近では“テプロツムマブ”と言う抗体医薬が使われることもあります。
編集部
目の症状を悪化させないためにできることはありますか?
榎本先生
繰り返しになりますが、禁煙が最も重要です。喫煙者は眼症の発症リスクが約5倍に上がると報告されています。また、ホルモン値を安定させること、ストレスをためないこと、睡眠をしっかり取ることも再発予防になります。前述の甲状腺機能亢進に対する放射性ヨウ素(アイソトープ)内用療法は甲状腺眼症を悪化させるので注意が必要です。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
榎本先生
動悸、手の震え、発汗、暑がり、体重減少、目の突出などは、甲状腺疾患の症状かもしれません。正しく診断がつけば、薬のみで改善できることも多いので、これらの症状を感じたら、迷わず甲状腺専門医を受診ください。

