●自殺対策基本法が定める「配慮」
参考として、自殺対策基本法(2006年施行)9条にも触れておきます。同条は「自殺者及び自殺未遂者並びにそれらの者の親族等の名誉及び生活の平穏に十分配慮し、いやしくもこれらを不当に侵害することのないようにしなければならない」と定めています。
この規定は国や公共団体に対するものと考えられますし、刑事罰や損害賠償を直接定めるものではありません。
もっとも、民法上の不法行為における受忍限度の判断において、自殺者遺族の平穏が、民事上も保護されるべき重要な権利・利益であると考える背景として考慮される余地があります。
法的責任の追及が仮に難しいとしても、この法律が求める「遺族の名誉と生活の平穏への配慮」が、今回の動画において尽くされていたといえるのかという問題は、法的議論とは別に残り続けるように思います。
監修:小倉匡洋(弁護士ドットコムニュース編集部記者・弁護士)

