クリニックでおこなわれる治療と自宅での予防方法
編集部
クリニックではどのような治療をおこなうのでしょうか?
片桐先生
生後3カ月頃までは、まず生活環境の見直しが中心です。寝かせ方や抱っこの工夫、授乳姿勢の調整、向き癖を調整する体位変換など、日常で実践できる改善策を提案します。そのうえで、中等度以上のゆがみがあり自然改善が見込みにくい場合には、首がすわってくる生後3〜4カ月以降にヘルメット治療を選択肢として提案することがあります。月齢や重症度に応じて、無理のない計画を立てることが重要です。
編集部
ヘルメット治療の特徴や注意点について教えてください。
片桐先生
ヘルメット治療は、生後4〜6カ月頃に開始すると効果が得られやすいとされますが、一般的に早期であるほど短期間で効果が出やすい傾向にあります。中等度から重度のゆがみ、特に斜頭がある場合や、絶壁(短頭)で適応となるケースで検討されます。装着は1日23時間以上、入浴時以外は基本的に装着することが目安です。数カ月かけて少しずつバランスを整えていきます。皮膚トラブルが起こることもあるため、頭皮の状態をこまめに確認し、定期的な調整をおこないながら進めることが大切です。
編集部
赤ちゃんの頭のゆがみを予防するために、家庭で意識しておきたい基本的な考え方を教えてください。
片桐先生
頭のゆがみを予防するうえで重要なのは、後頭部の同じ場所に圧がかかり続けないようにすることです。そのためには、向き癖を調整する体位変換と、起きている時間帯の姿勢づくりが基本になります。寝かせる向きを工夫したり、声をかける位置や光の方向を変えたりして、自然に頭の向きが変わる環境を整えることが大切です。あわせて、斜頭症の予防として有効とされているのが「タミータイム」です。起きている時間に姿勢を変えることで、後頭部への圧を分散させ、頭の形への影響を軽減できます。こうした予防的なケアは、生後早い時期から無理のない範囲で継続することが重要です。
編集部
タミータイムは、具体的にはどのようにおこなうとよいのでしょうか?
片桐先生
タミータイムは、生後すぐから始めて問題ありません。目安としては1日2〜4回程度、1回あたりの時間は最大15分までとし、赤ちゃんの機嫌や体調を見ながらおこないます。最初は、お父さんやお母さんの胸やお腹の上に赤ちゃんをうつ伏せにする方法がおすすめです。安心感があり、首や体を少しずつ動かす練習にもなります。赤ちゃんが慣れてきて機嫌よく過ごせるようになったら、硬めのマットや布団の上でおこなう方法へ移行します。いずれの場合も必ず大人が見守り、嫌がる様子があれば無理をせず中断してください。タミータイムを日常生活に取り入れることで、斜頭症の予防だけでなく、首や体幹の発達を促す効果も期待できます。
編集部まとめ
赤ちゃんの頭のゆがみは、向き癖や生活環境など身近な要因で起こることが多く、早い時期からの気づきと対応が大切です。多くは日常の工夫や予防で改善が期待できますが、重症度によっては専門的な評価や治療が必要になることもあります。迷ったときは一人で抱え込まず、専門医に相談することで適切な選択につながります。本稿が、読者の皆様にとって赤ちゃんの頭の形を正しく理解し、安心して向き合うためのきっかけとなりましたら幸いです。

