悪阻に苦しむなおに対し、恭司は「楽しみを奪うな」と逆ギレするモラハラ気質を見せる。一度は妥協したなおだったが、恭司は約束を破り泥酔して帰宅。家を汚した彼に、なおは淡い期待を抱くが、本質は変わらない。
つわりでお酒の匂いが気持ち悪い…
「……うっ」
キッチンに漂う、わずかな油の匂いに胃が反転します。 妊娠初期のつわりは、本当に地獄でした。 あのころ、私は恭司に必死で頼み込んだんです。
「お願い、お酒の匂いが本当にキツイから、家では飲まないで。悪阻が落ち着くまででいいから」
その時の彼の顔は、今でも忘れられません。
「はあ…俺の唯一の楽しみを奪うわけ? 仕事で疲れて帰ってきてるのに、ちょっと酒飲むのもダメなわけ?」
舌打ち。そして、わざとらしく大きな音を立てて冷蔵庫を閉める動作。彼は、いわゆるモラハラの気がある人でした。
共働きなのに家事は私。私が悪阻で動けない時、彼は渋々、最低限の掃除や食事の用意をしてくれましたが、その間ずっと「チッ」「俺がやらなきゃゴミ屋敷だな」と悪態をつき続けていました。
モラハラ気質な夫に怯えてしまった
彼が怒っていると、私は精神的に不安定になってつわりが悪化する気すらしました。だから安定期に入って悪阻が少し落ち着いた時、私は自分から折れてしまったのです。
「少しは体調がよくなったから、臨月までは、お酒を飲んでもいいよ。外での飲み会も、22時までなら」
それが間違いでした。
「あ~やっと普通に戻ったのかよ。あのままだったらどうしようかと思った」
そう言って、彼はその日から遠慮なく私の隣で缶ビールを開け始めました。 私が妊娠してからずっと一滴も飲まず、お酒の匂いに耐えていることなんて、彼の脳内からは完全に消去されたようでした。

