WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で、日本代表「侍ジャパン」は惜しくも敗退した。これまで日本戦の行方に大きな注目が集まり、多くのファンが試合の結果に一喜一憂した。
今回の大会は、日本国内では動画配信サービスの「Netflix(ネットフリックス)」が独占配信しており、課金しなければリアルタイムで試合を視聴できない点が、これまでの大会と大きく異なっていた。
さらに、準決勝や決勝などの試合は、日本時間で平日午前中に開催される日程となっており、多くの人にとっては職場や学校で過ごす時間と重なる。
日本が敗退しても、試合の行方が気になり、リモートで仕事をしながら、あるいは授業を受けながら、こっそりと生中継を見たり、速報ニュースをチェックしたりする人もいるかもしれない。
では、勤務時間中にWBCの試合を視聴する行為は、法的に問題ないのだろうか。
また、その際に使う端末が会社のパソコンか、私有のスマートフォンかによって、会社による処分に違いは生じるのだろうか。今井俊裕弁護士に聞いた。
●勤務中の視聴「許されるものではない」
──仕事中にWBCの試合を視聴する行為は、どのような法的問題がありますか。
海外で開催されるイベントの生配信は、時差の関係で、日本では自宅でくつろいでいる時間帯ではなく、平日の日中ということも少なくありません。
オリンピックや、今回話題となっているWBCのような世界的なスポーツ大会がその典型です。
どうしても試合が気になり、リアルタイムで視聴したいという気持ちになる人もいるでしょう。
しかし、それが勤務時間中であれば、基本的に許されるものではありません。
休憩時間中であれば別ですが、勤務時間中は個人的なスポーツ観戦などはせず、勤務先の業務に従事しなければならないからです。これについて異論はないでしょう。
●勤務中の私的行為は「労務提供義務違反」
──仕事中にネットで試合速報のニュースを見る行為も問題になりますか。
今回のWBCは、特定の企業がインターネットで生配信しています。そのため、個人所有のスマートフォンやパソコンで視聴する人もいるかもしれません。
あるいは、会社から貸与されたパソコンを使って、自分のデスクで視聴してしまう人もいるかもしれません。
しかし、いずれの場合でも、勤務時間中に試合を視聴すれば、従業員としての労務提供義務に違反する行為と評価される可能性があります。要するに「業務をサボっている」とみなされるということです。
もちろん、たとえばネットニュースを少しチェックしたり、生中継を短時間だけ視聴した程度であれば、それがどれだけ会社の業務に支障を与えたのかという問題はあります。
そのため、視聴していた時間分の賃金をすべてカットすることが適法かどうかについては、個別の事情に応じた判断が必要になるでしょう。

