夫も理解してくれない…
「ただいまーお、今日もにぎやかだな」
仕事から帰ってきた敦朗は、かろうじて座れるソファーのわずかな角に腰掛けて、のんびりと言いました。
彼は、この環境で30年近く育ったせいか、感覚が完全にマヒしているようでした。
「敦朗さん…また、おむつが増えたの。もう歩く場所もないわ」
「まあまあ、春子。母さんはよかれと思ってやってるんだから。悪気がないのは分かってるだろ? 少しずつ、週末にでも一緒に片付ければいいじゃないか」
彼はそう言いますが、その「週末」が来たことはありません。
私は毎日、掃除機をかけるための「床」を探しては、雑誌の束を右から左へ、ペットボトルの山を左から右へと動かすだけのむなしい作業に追われていました。
それは掃除ではなく、ただの「堆積物の移動」でした。
「お義母さん。新がもうすぐハイハイを始めるんです。床のホコリも心配だし…その古新聞の山が崩れたら、新が下じきになって危ないわ」
真剣に訴える私に、義母は茶菓子を差し出しながら笑いました。
「大丈夫よぉ、新くんは男の子なんだから!それくらいでへこたれないわ。強い子に育つわよ」
そう言いながら、彼女は今日買ってきたばかりの「多機能スライサー」を、キッチンの引き出しにムリやりねじ込みました。
義母の善意とやさしさが、真綿で首を絞めるように、少しずつ私を追い詰めていく。
この家には、生活の「淀み」が、確実に…そして、分厚い地層のようにたまり続けていました。
あとがき:逃げ場のない監獄
一番厄介なのは、相手が悪気のない「いい人」であること。
夫の「悪気はないんだから」という無責任なフォローも、孤独に拍車をかけますよね。物理的なスペースだけでなく、心の余裕まで侵食されていく恐怖。この地層の深さは、そのまま春子さんのがまんの深さでもあるのです。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています
記事作成: ゆずプー
(配信元: ママリ)

