深夜、泥酔して帰宅した恭司はチェーンに阻まれる。雨に濡れながら罵声を浴びせる夫に対し、なおは冷静に拒絶を貫く。結局、恭司は怒って去り、なおは静寂に包まれたリビングで、かつてない心の平穏を感じる。
チェーンがかけられたことに気が付いた夫
深夜1時30分。 外は猛烈な雨と風が吹き荒れています。私はベッドの中で、半分眠りに落ちかけていました。その時、ガチャガチャと玄関の鍵が開く音が聞こえてきました。
恭司が帰ってきたのです。 しかし、鍵は開いても、ドアはわずか数センチで止まります。
「……ん? あれ……? 開かねえ……」
外から恭司の困惑した声が聞こえます。 ガチャガチャ、ドン! ガチャガチャ、ドン! 何度もドアを押し込もうとしていますが、チェーンはびくともしません。
この状況でさえ、謝罪をしない夫
私はベッドから起き上がり、ゆっくりと玄関に向かいました。ドア越しに、彼の声が聞こえます。
「おい、なお! 開けろよ! チェーンかかってんぞ!」
私はドアを開けず、隙間から冷たい声をかけました。
「メッセージ見てないの?」
私はさっき、彼にメッセージを送っていました。
【一晩頭を冷やして、酔いが覚めたら帰ってきて。そのとき連絡くれたらチェーンも開けるから】
「見てねえよそんなの! 早く開けろよ、雨がすごいんだよ!」
「約束破って酔ってる人に入ってほしくない。あなたのその態度も、今の私とおなかの子には毒なのよ」
「なんだよそれ!夫を締め出すのかよ! 酷いだろ!」
「ひどいのはどっち?私、何度も電話して帰ってくれるようにお願いしたよね」
すると、彼は強い口調のまま「もういい、勝手にしろよ。お前なんてこっちから願い下げだわ!」そう言って、彼は玄関の前から去ったようです。外からは、ガンガンと階段を激しい音を立てて降りていく足音が聞こえました。
駐車場には彼の車があります。 外は暴風雨。車の中は冷えるでしょうが、そのときの私はもう彼の寒さのことなんて考えられませんでした。

