治療は、どのようにして行われるのか?
編集部
睡眠・覚醒相後退障害の治療方法を教えてください。
伊東先生
治療の中心は、体内時計を前倒しする「リズム調整」です。具体的には、起床後に強い光を浴び、光環境の調整を行います。それでも改善しない場合は、薬物療法としてメラトニン製剤やメラトニン受容体作動薬を使用します。就寝前には、スマートフォン・PCの光を避ける習慣づくりが基本となります。眠ったり、起きたりする時間を少しずつ前倒しにしていくこと、それから学校や仕事の予定を調整して無理に詰め込みすぎないことも大切です。改善には数週間〜数カ月かかることもあるため、焦らず継続的に治療することが必要になってきます。
編集部
薬物療法が行われることもあるのですね。
伊東先生
はい。生活リズムの調整で改善しない場合、子どもにはメラトニン製剤を使用することがあります。ただし日本では、成人の不眠症に対するメラトニン製剤は承認されておらず、成人のケースでは、メラトニン製剤ではなくメラトニン受容体作動薬を使用します。
編集部
まずは生活習慣の見直しが必要なのですね。
伊東先生
そうですね。夜は強い光や寝る前のスマートフォンの使用を避け、睡眠リズムを乱さないことが大切です。本来は朝にしっかり光を浴びることが望ましいですが、近年は在宅勤務などで外に出ない生活が増えていると思います。家にいる時間が続くと、症状が悪化しやすくなるので注意が必要です。また、夜の予定が増えて就寝時間が遅くなるのも悪影響を及ぼします。症状の改善には生活全体を整えることが必須です。
編集部
治療により症状の改善は期待できますか?
伊東先生
多くの場合改善しますが、再発しやすいため、リズムを整える習慣を続けないといけません。睡眠の問題で困ったことがあれば、早めに医師に相談してください。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
伊東先生
コロナ禍以降、在宅勤務が増えたことで「通勤がなくなり、生活リズムが一定でなくなる」「仕事の後ろ倒しが起こりやすい」「朝の外出がなくなり、朝日を浴びなくなる」といった理由から、「夜なかなか眠れない症状」に悩む人が増えています。睡眠・覚醒相後退障害は、生活環境に影響されやすい病気だからこそ早めに気付き、悪化する前に対処することが重要です。治療が早いほど回復はスムーズになります。気になる症状があればためらわずに、専門医に相談してほしいと思います。
編集部まとめ
睡眠リズムの乱れを「疲れのせい」と放置してしまう人が増えています。しかし、症状が続く背景には病気が隠れている可能性も……。早く気付き、早く対処することが改善への最短ルートです。眠気や集中力の低下が気になる人は、まず専門医に相談することをおすすめします。

