車社会の町で、ママ友の頼子を厚意で車に乗せ始めた冴子。最初はスタバを奢ってくれた頼子だったが、次第に「乗せてもらって当然」という態度へ。片道1時間の遠出を強いた際のお礼が安いお菓子だけで、冴子の心に小さなトゲが刺さる。
ママ友と運命的な出会い
「あ、冴子さーん!今日、リョウくんと公園?」
声をかけてきたのは、同じアパートの隣の棟に住む頼子ちゃん。娘のりりちゃんは、うちのリョウと同じ1歳。はいはいの時期に公園で知り合って、家も近いし、年齢も近い。
「これは運命かも!」なんて、最初は手を取り合って喜んだものです。
私の名前は冴子。32歳で、33歳の夫・拓哉と、やんちゃ盛りのリョウと3人暮らし。性格は、自分でも言うのもなんですが、争い事が苦手な平和主義。頼子ちゃんは明るくて行動力があるタイプに見えました。
車社会ならではのやり取り
この地域、実は車がないとどこにも行けない「車社会」なんです。初めて二人で遊びに行こうとなった時、頼子ちゃんが申し訳なさそうに切り出しました。
「ねえ冴子さん。うちの車、ベビーカー積んじゃうとチャイルドシートもう一個乗せるスペースなくて……。大人も乗れないし、冴子さんの車に便乗させてもらってもいい?」
「あ、全然いいよ!うちの車、少し広めだから大丈夫」
その時は、深く考えていませんでした。実際、その日は頼子ちゃんが「乗せてもらったお礼!」って、スタバを奢ってくれたんです。 『あ、ちゃんと気遣いができる子なんだな』 そう思って、私も快くハンドルを握りました。
友達に車を出してもらった時にカフェ代を持つ。そういうマナーって、言われなくても自然にやるものだと思っていたから。
でも、その「お礼」があったのは、その一回きりだったんです。

