直接会って相談したいという聡里に誘われランチへ。しかし聡里は亜紀の悩みを「レベルが低い」と一蹴し、自分の話ばかりをぶつける。対等ではない関係に疑問を抱いた亜紀は、逃げるように帰宅して…。
また親友の話を聞くことに
数日後、また聡里から連絡がありました。今度は「どうしても直接会って話したい」とのこと。私たちは土曜日の午後、おしゃれなカフェでランチをすることにしました。
「亜紀、こっちこっち!」
先に着いていた聡里が席で手を振っています。その顔を見ると、やはり疲れて良そうで「助けてあげなきゃ」という義務感がわいてきました。
「お待たせ。聡里、なんか疲れてそうだね」
「そうなの!聞いてよ~もう限界。課長がね、私のミスじゃないことまで私のせいにしてさ…」
注文したパスタが届いても、聡里のフォークはほとんど動きません。代わりに口からひたすら愚痴がこぼれてきます。
私も相談をしたかったのに…
実を言うと、私もその日は話したいことがありました。最近、職場の人間関係で少し悩んでいたのです。これまで私がずっと愚痴を聞いてきたのですから、聡里も話を聞いてくれると期待していました。
「聡里、実は私もね、最近ちょっと仕事でモヤモヤしてて……」
勇気を出して切り出した私はほんの1分ほど自分の悩みを話したのですが、アイスコーヒーを飲みながら適当そうに相槌を打った聡里は、こんなことを言い放ちました。
「えー、亜紀はまだいいじゃん。人間関係で悩んでるっていっても仕事は安定してるし、家に帰れば優しい旦那さんがいるんでしょ?私の悩みとはレベルが違うよ~。私なんて課長にまたひどいこと言われて――」
私は「レベルが違う」という言葉を聞いてあぜんとしてしまい、その後の聡里の愚痴は頭に入ってきませんでした。
聡里は相手の話を無視するように、強引に自分の話題に引き戻します。彼女にとって私はまるで「感情のゴミ箱」です。そう思うと、もうこの場で話を聞いているのもつらいと思うようになりました。
「……ごめんね、ちょっとこのあと夫と予定があって。そろそろ帰るね」
私は逃げ出すようにお店を後にしました。

