言葉が通じなかった
ある日、観光客風の装いの男性のお客様が来店しました。
男性は空き缶を手に持ち、店の中をキョロキョロ。ゴミ箱を探しているようです。
そのうち、聞きなれない言葉で話しかけてきました。
私が理解できないと分かると、男性は無言で空き缶を差し出します。
私は英語で「ゴミは受け付けていません」と伝えると同時に、英語と日本語で書かれた「当店で購入された商品のゴミのみ受け付けます」という案内板を手で示しました。
というのも、男性が持つ空き缶はうちの店では取り扱っていない商品だったからです。
しかし、男性はなおも空き缶を差し出します。
受け取らない私にイラついたのか、ぶっきらぼうに空き缶を押し付けると、店から出て行ってしまいました。
驚きの光景
仕方がなく私はゴミを引き取ることに。
その数時間後、先ほどの男性が、再び店にやって来ました。
今度は女性と2人です。
そのとき、私は衝撃的な光景を目撃したのです。
「この間SNSで見たイタリアンの店に行ったんだけど、マジでおいしくてさ」
そう話したのは、先ほどの男性。とても流ちょうな発音の日本語です。
「え、日本語しゃべれるの!?」
そう思った私の前で、彼は日本語で楽しそうに女性と会話。
「じゃあ、ゴミは受け付けていないって分かったはずなのに……」
私は驚くとともに、やるせない気持ちを抱いてしまったのです。

