入園を機に距離を置く冴子だが、頼子は空気を読まず「引っ越し祝いに豪華ランチ(私の車で)」と誘ってくる。ついに冴子は「価値観が違う」と本音で拒絶。逆ギレする頼子に屈せず、自分の感情を伝え切った冴子は、かつてない心の解放を味わう。
ママ友と少しずつ距離を置きたい
4月。
リョウとりりちゃんは別々の保育園に入園することになりました。これを機に、物理的な接点はぐっと減るはず。そう思って、私は頼子ちゃんからの連絡を徐々にフェードアウトさせていきました。
しかし、頼子ちゃんは空気を読むタイプではありませんでした。
「冴子さーん!最近全然会えないじゃん。今度の土曜、久しぶりにあの遠い公園行かない? もちろん、冴子さんの車で!」
スマホに届いた通知を見て、吐き気がしました。
「ごめん、その日は新居の打ち合わせがあって忙しいんだ」
「え、新居? どこに建てるの? 近所?」
「ううん、車で30分くらい離れたところかな。だから、もうすぐ引っ越すんだ」
そう伝えると、しばらく既読スルーが続きました。
どこまでも自分勝手なママ友
そして数時間後、信じられない返信が来たのです。
「えー!寂しい!……あ、じゃあさ、引っ越す前に一回ランチ行こうよ。冴子さんの車でさ、ちょっと豪華なビュッフェ行かない? お祝いってことで!」
『お祝いってことで!』……。 きっと、そのガソリン代も、出すのは私になるのでしょう。彼女の中では、私が車を出し、私が尽くすことが「デフォルト」になっている。
私は、拓哉と相談して決めていた「最後の返信」を打ち込みました。
「頼子ちゃん、ごめん。これからはお互い忙しくなるし、車の出し合いとか、物の貸し借りとか、そういうのでモヤモヤしたくないんだ。今までありがとう。引っ越し準備で忙しいから、もう連絡は控えるね」
我ながら、かなりストレートに書きました。 すると、速攻で電話がかかってきました。出ずに放置していると、LINEの連打。
『モヤモヤって何?』 『私、何か悪いことした?』 『車のこと? ガソリン代なら払うよ!(今度から)』 『友達でしょ? ひどくない?』
逆ギレに近い内容に、私の心は冷え切っていきました。 「友達」という言葉を盾にすれば、何をしても許されると思っているのでしょうか。

