糖尿病による手のしびれの治療法と生活上の注意点

病院での手のしびれに対する治療法を教えてください
治療は、血糖コントロールとしびれ・痛みそのものへの対処を組み合わせて行います。まず基本となるのは血糖値の是正で、食事療法・運動療法に加えて、必要に応じて経口血糖降下薬やインスリン、GLP-1受容体作動薬などを用い、できるだけ正常に近い血糖コントロールを目指します。これにより神経障害の進行を抑え、軽症例ではしびれの改善もあります。
さらに、禁酒・禁煙も必要です。しびれや痛みがつらい場合には、神経障害性疼痛に用いられるプレガバリン、デュロキセチン、三環系抗うつ薬などの薬で症状を和らげます。必要に応じて、ビタミンB群製剤や血流を改善する薬の併用もあります。さらに、フットケアやリハビリテーションの指導を通して、感覚低下によるけが・やけどの予防や、手指の細かい動作を保つ訓練を行うこともあります。症状や全身状態は患者さんによって異なるため、担当医と相談しながら、自分に合った治療計画を立てていくことが大切です。
参照:『糖尿病性神経障害 』(健康長寿ネット)
手のしびれを自分で改善することはできますか?
自分の工夫である程度の改善を目指すことができますが、完全に自己判断で対応するのは危険です。まず大切なのは、血糖コントロールを整える生活習慣です。糖質のとりすぎを控え、野菜やたんぱく質をしっかり摂るバランスのよい食事に見直すことで、血糖値の急上昇を抑えやすいです。また、ウォーキングなどの有酸素運動と、スクワットや軽い筋トレなどのレジスタンス運動を継続すると、筋肉が糖を取り込みやすくなり、血糖値の改善としびれの軽減が期待できます。
糖尿病で手のしびれが生じている場合の注意点を教えてください
悪化させない、けがや合併症を防ぐことが大切です。まず、血糖コントロールが優先です。食事・運動・薬物療法を続けて血糖値を安定させることで、神経のこれ以上のダメージやしびれの進行を抑えやすいです。
同時に、しびれの原因が本当に糖尿病性神経障害か、頸椎症や手根管症候群など別の病気ではないかを確認するため、自己判断せず早めの受診が重要です。感覚が鈍くなっていると、やけどやすり傷に気付きにくくなるため、熱い鍋や湯、包丁・ハサミの扱いには特に注意し、毎日手足の皮膚に傷・腫れ・色の変化がないかをチェックします。
一方で、しびれが急に強くなった、片手だけ、力が入りにくい、痛みが激しい、傷ややけどに気付きにくい場合は、糖尿病性神経障害以外の病気や進行した合併症の可能性もあるため、自分だけで様子を見ず、医療機関を受診して評価を受けることがすすめられます。
参照:『糖尿病合併症について』(一般社団法人 日本糖尿病学会)
編集部まとめ

手のしびれは一時的な血行不良でも起こりますが、長く続く場合は糖尿病による神経障害が原因のことがあります。糖尿病性神経障害は、高血糖で神経や血管が傷つき、感覚の異常や痛み、感覚の鈍さとして現れます。初期は足先から始まることが少なくないものの、進行すると手や指にも広がることがあります。治療の基本は血糖コントロールで、必要に応じて神経の痛みやしびれを抑える薬を併用します。日常生活では、けがややけどに注意し、毎日の皮膚観察と早めの受診が大切です。
参考文献
『糖尿病性ニューロパチー|(疾患・用語編) 代謝性?遺伝性ニューロパチーなど|神経内科の主な病気』(一般社団法人 日本神経学会)
『糖尿病性神経障害 』(健康長寿ネット)
『糖尿病性神経障害の病態に関与するアルドース還元酵素の遺伝子欠損シュワン細胞株を樹立』(公益財団法人 東京都医学総合研究所)
『しびれ(上肢のしびれ)』(日本整形外科学会 症状・病気をしらべる)
『糖尿病合併症について』(一般社団法人 日本糖尿病学会)

