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長引く「だるさ」「高血圧」に潜む『副腎』の病気とは? どんな症状に注意!?【医師解説】

長引く「だるさ」「高血圧」に潜む『副腎』の病気とは? どんな症状に注意!?【医師解説】

「最近なんとなくだるい」「血圧が高いまま下がらない」——こうした日常の小さな変化の背景に、ホルモン異常が潜んでいることがあります。ホルモンは体のバランスを整えるために欠かせない存在で、その量が多すぎても少なすぎても体調に影響が出ます。そこで、副腎で起こる代表的な内分泌疾患を中心に、気づきにくい症状や受診の目安について、中央林間駅前いしだ内科の石田悠人先生に話を聞きました。

※2025年10月取材。

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監修医師:
石田 悠人(中央林間いしだ内科)

信州大学医学部医学科卒業。JCHO東京新宿メディカルセンターで初期研修を修了後、横浜市立大学 内分泌・糖尿病内科学教室に入局。大和市立病院、藤沢市民病院、横浜労災病院などで専門診療に従事し経験を積む。2025年5月に中央林間駅前いしだ内科を開院。日本専門医機構認定内科専門医、日本専門医機構認定内分泌代謝・糖尿病内科領域専門医・指導医、日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医。

ホルモンはどんな働きをしているの?

ホルモンはどんな働きをしているの?

編集部

「ホルモン」とはどういった役割を持つのでしょうか?

石田先生

ホルモンは体の様々な臓器で作られ、血液を通じて全身に運ばれる化学伝達物質です。代謝、血圧、体温調整、ストレス反応、生殖機能など、体の恒常性を保つために欠かせない働きを担っています。

編集部

ホルモンの量が増えすぎたり、減りすぎたりすると、どのような症状が出るのでしょうか?

石田先生

ホルモンは「ちょうどいい量」で働くため、多すぎても少なすぎても体調に影響が出ます。症状は多岐にわたり、倦怠感、頭痛、寒がり・暑がり、脚のつり、しびれ、むくみ、動悸、喉の渇きと尿量の増加、顔つきの変化、皮膚の異常、月経異常、性欲低下、体重の増減など、さまざまな症状が現れます。

編集部

こうした症状がホルモンによるものとは考えないかもしれません。

石田先生

その通りです。最初はほとんどの人が、「疲れているだけ」「年齢のせい」などと思ってしまいがちです。加えて、内分泌疾患の症状はゆっくり進行することも多いため、「病気かもしれない」と思って医療機関を受診するまでに、時間がかかることがあります。

編集部

具体的に、副腎のホルモン分泌の異常ではどのような病気が起こるのでしょうか?

石田先生

代表的なものに、①クッシング症候群、②原発性アルドステロン症、③副腎皮質機能低下症の3つがあります。それぞれ性質が異なり、症状の出方も大きく変わります。

編集部

それらはどのような検査で診断されるのですか?

石田先生

まずは採血をおこない、ホルモンの値を調べます。その結果をもとに、どの病気の可能性があるかを絞り込んでいきます。ただし、副腎ホルモンは時間帯や日によって数値が変動するため、1回の採血で異常値が出たとしても、必ずしも病気とは限りません。そこで、特定の病気が疑われる場合には、薬を使って体の反応を見る「内分泌負荷試験」をおこない、ホルモン値の動きを詳しく確認したうえで、最終的な診断をおこないます。

副腎で起こる代表的な病気を医師が解説!

副腎で起こる代表的な病気を医師が解説!

編集部

それぞれの病気について、もう少し詳しく教えてください。まずクッシング症候群とはどのような病気ですか?

石田先生

クッシング症候群は、副腎皮質からコルチゾールというホルモンが過剰に分泌されてしまう病気です。コルチゾールの分泌は「ACTH」というホルモンが副腎に指令を出すことで調整されているため、この病気には、下垂体や体内の別の部位でACTHを作りすぎてしまうタイプ(ACTH依存性)と、副腎そのものが原因でコルチゾールを作りすぎてしまうタイプ(ACTH非依存性)があります。

編集部

どのような症状が出るのでしょうか?

石田先生

満月様顔貌、中心性肥満(体幹に異常に脂肪がついているのに腕や脚は痩せること)、野牛肩(首の後ろ側の付け根に異常に脂肪がつくこと)などの特徴的な外見の変化が現れます。皮膚が薄くなって赤い線が走る、青あざができやすくなる、多毛、むくみなどもよく見られます。また、合併症として高血圧、糖代謝異常、脂質異常症、骨粗しょう症、緑内障、白内障、月経異常、不妊、感染症への抵抗力低下などがあります。

編集部

治療はどのようにおこなわれるのでしょうか?

石田先生

原因となる腫瘍を手術で取り除くのが基本です。手術後は一時的に副腎の働きが弱まるため、ホルモンの補充が必要になるケースも多いです。ほかには、コルチゾールの合成を抑える飲み薬で治療をおこなうこともあります。

編集部

次に、原発性アルドステロン症についても教えてください。

石田先生

原発性アルドステロン症は、副腎皮質からアルドステロンというホルモンが過剰に分泌されることで、高血圧や低カリウム血症を引き起こす病気です。高血圧の人の約10%に認められるともいわれており、決して珍しい病気ではありません。この場合、通常の高血圧治療だけでは動脈硬化や腎機能低下が進みやすいことが分かっています。副腎は左右の腎臓のそばに一つずつありますが、この病気は大きく2つのタイプに分けられます。両方の副腎からアルドステロンが過剰に分泌される「両側性」と、主に片側の副腎に腫瘍ができる「片側性」です。

編集部

治療はそれぞれどのようにおこなわれるのでしょうか?

石田先生

片側性の場合は、アルドステロンを過剰に作っている側の副腎を切除する手術をおこないますが、手術を希望しない場合はアルドステロンの作用を抑える飲み薬の治療をおこないます。
両側性の場合は、原則飲み薬での治療をおこないますが、左右の副腎がアルドステロンを分泌する程度に大きな差があり、手術によって原発性アルドステロン症の勢いを大きく抑えられると見込まれる場合は、より多く分泌している側の副腎を切除することもあります。また、一部の医療機関では、アルドステロンを過剰に作っている腫瘍などを部分切除し、正常な副腎を温存する「部分切除術」や、高周波電流を流せる細い針を背中から刺して腫瘍を焼き切る「ラジオ波焼灼術」をおこなっています。

編集部

最後に、副腎皮質機能低下症についても教えてください。

石田先生

副腎皮質機能低下症は、副腎皮質で作られるホルモン(主にコルチゾール)が不足する病気です。強い倦怠感、体重減少、低血圧、吐き気などが現れ、重症化すると命に関わることもあります。一方で、紛らわしいものとして「副腎疲労症候群」と呼ばれているものがあります。これは慢性的なストレスで副腎が疲労することによって発症するとされていますが、ストレスが副腎の機能を低下させるという根拠は不確かで、その存在が疑問視されています。混同しないよう注意する必要があります。

編集部

治療はどのようにおこなわれますか?

石田先生

主にコルチゾールを飲み薬で補充する治療をおこないます。コルチゾールが大きく不足している人では、補充により症状が劇的に改善することがあります。発熱や手術などのストレス時には薬の量を増やす必要があり、その都度、適切な対応方法をお伝えしています。

配信元: Medical DOC

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