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JR値上げで「通勤ルート」変更? 会社は「安い路線で通え」と命じられるのか 八王子〜新宿区間で定期代逆転

JR値上げで「通勤ルート」変更? 会社は「安い路線で通え」と命じられるのか 八王子〜新宿区間で定期代逆転

JR東日本が3月14日から運賃を値上げしました。この値上げにより、通勤定期代の見直しを迫られるケースも出てきそうです。

並行する私鉄よりJRのほうが高くなる区間では、会社から「より安いルートで通勤してほしい」と求められる可能性もあります。

たとえば八王子から新宿に通勤する場合、これまで6カ月の定期代は、京王線よりもJR中央線を利用したほうが1万730円安い状況でした。しかし値上げにより、現在は京王線を利用したほうが9650円安くなる計算です。

SNSでは「通勤は京王線に強制的に変更されるの?」「新宿での乗り換えが不便だから京王線は使いたくない」など、通勤ルートをめぐって戸惑いの声も上がっています。

こうした場合、会社はより安い定期代のルートへと変更を指示できるのでしょうか。また、従業員がこれまで通りの経路で通勤することは認められるのでしょうか。山田長正弁護士に聞きました。

●「より安いルート」に変更できるのか?

──会社が通勤手当を負担している場合、「より安いルートで通勤してほしい」として通勤経路の変更を求めることは、法的に可能なのでしょうか。

ケースバイケースです。この点は、会社と社員との間で、通勤手当についてどのような労働条件が成立しているかによって異なります。

たとえば通勤手当に関して、賃金規程に「会社が最も合理的と認めた経路にかかる費用を支給する」といった規定が設けられ、これに基づいて支給されているパターンが多いのではないでしょうか。

このような規定がある場合、通勤手当は会社が最も合理的と認めた経路を基準に支給されます。

そのため、今回のようにJRの値上げによって、会社の負担が増える場合、従来の通勤ルートが「合理的経路」と認められなくなる可能性もあります。

●「乗り換え不便だから現在のルートで」は通じる?

──仮に会社が安いルートを提示した場合でも、従業員が「乗り換えが増える」「所要時間が長くなる」「混雑が激しい」などの理由から、これまで通りの経路で通勤したいと希望することは認められるのでしょうか。

上記のパターン、すなわち、賃金規程に「会社が最も合理的と認めた経路にかかる費用を支給する」といった規定が設けられ、これに基づいて支給されているパターンでは、会社が主導で決められますので、従業員が希望しても認められないことは十分にあり得ます。

他方、たとえば賃金規程には通勤手当の内容が明記されておらず、入社時の個別の雇用契約書で特定のルート(JR利用など)が定められている場合には、そのルートが契約内容になります。

その場合は、公共交通機関の運賃が値上げされたとしても、会社が一方的に別の安価なルートへ変更することはできません。

特に変更によって「乗り換えが増える」「所要時間が長くなる」「混雑が激しい」など、従業員に不利益が生じる場合には、個別に従業員の同意が必要になります。

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