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「英語ゼロ」から世界へ! 司法試験合格の翌日カンボジア行きを決めた 佐藤暁子弁護士の「飛び込む力」

「英語ゼロ」から世界へ! 司法試験合格の翌日カンボジア行きを決めた 佐藤暁子弁護士の「飛び込む力」

「ビジネスと人権」が企業経営の重要課題となる中、国連開発計画(UNDP)で理念を伝える役割を担う佐藤暁子氏(BUSINESS LAWYERS AWARD 2025 ビジネスと人権部門賞、主催:弁護士ドットコム)。司法試験合格の翌日にカンボジアへ渡航を決意し、現地で開発の光と影を目の当たりにしたのが活動の原点だ。国や組織を横断して対話を続ける姿勢と、日本の課題を聞いた。

●まず現場に飛び込んでみる

「英語、ぜんぜん話せなかったんですよ」。佐藤暁子氏は、帰国子女でもなく、20代は留学経験もなかった。カトリック系の中高時代を過ごし国際貢献への思いはあったものの、海外経験は乏しかった。だから、司法試験に合格した翌日に、修習を休んでカンボジアに行くと親に告げた。具体的に何をするかは決まっていないまま飛び込んだ。「毎日午前はクメール語の勉強。あとは、トゥクトゥク(三輪車)の運転手さんに話しかけたり、片っ端からNGOや大使館での勉強会などに顔を出したりしていました」と振り返る。

1970年代のポル=ポト派による圧政を経て、急速に発展へ向かう国家の姿を現地で見たことは、佐藤氏の原点だ。開発が進むプノンペンも中心部から一歩離れれば、ごみ山で暮らす子どもがいた。NGOスタッフと水道・電気のない家に泊まった。「ドラム缶にためた水しかなくても、若かったからか、つらいと思わなかったですし、コミュニティの暮らしを少しでも経験することができ、良かったです」。土地の空気、人々の表情、発する言葉ー。自分の目で見て、感じたからこそ「開発とは誰のためか」を考えるようになった。

帰国後、プノンペンに住むと決め、人脈を広げるうちに、名古屋大が現地の法学部に設置した日本法教育センターで日本法を教える講師の職を得た。滞在は8カ月に及んだ。「法律の勉強だけでは狭いバブルの中でした。弁護士が、どんな役に立てるのか幅広く知るには、海外に身を置いたり、法律以外の本を読んだり、多様な経験をすることが必要だと思います」

その後、札幌で弁護士として一般民事・刑事事件を扱いながら、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウで活動。カンボジアは日本企業の進出も多く、ユニクロの委託先縫製工場での労働問題が表出し、調査に携わった。いま力を入れている「ビジネスと人権」という理念に触れ、進む道が定まりつつあった。

●「積極姿勢」が生む縁と運

30代に入り、開発学を専攻するオランダ・ハーグの大学院に留学した。多くの文献を読み、同級生とディスカッションすることで、英語力は向上した。修了後は日本に帰らず、タイのバンコクへ。知人を訪ねると、たまたま国連開発計画(UNDP)がインターンを募集していると聞き、運良く「ビジネスと人権」のプロジェクトに携われた。積極的に動きながら、縁や運を引き寄せてきた。

現在はUNDPの本部付でバンコクに駐在。他の国連機関やNGO、企業など関係者を横断してつなぐ役割のリエゾンオフィサーとして、ビジネスと人権の理念について研修などで伝えている。国内企業に講演に赴くと、まだ経営層に高齢男性が多いという偏りも見える。「ビジネスと人権とは、正解のない課題に取り組んでいくことです。青臭いと思われても理念を共有しないと、アクションにつながらない。社会全体を考える視点が、企業にとってもプラスになるという意識や覚悟が、より醸成できるよう努めています」

佐藤氏が、人と相対する時に気をつけていることは「いい質問をすること」。特に日本では、ひとたび大勢いる会議になると、誰からも手が上がらない空気になる。相手の話をより理解したいと思うからこそ問いが出るもので、話者との接点を生むのが「質問」。「いい質問」は、自分を印象づけることができ、「もっとコミュニケーションしてみたい」と思わせることができる。国内外問わず、こうした対話の姿勢を大事にしている。

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