●未成年に責任を押し付ける社会
宗教的価値観などを背景に中絶を厳しく制限している国もありますが、日本社会では、望まない妊娠が起きたとき、たとえ未成年であっても女性側に責任を背負わせる現実に目を向けるべきです。
保護処分に留めたからといって、自分自身で胎児の命を自由に処分できることを認めるということにはならないし、「刑罰を与えよ」という主張は単なる応報的な発想に基づくだけのものと言わざるを得ません。
●社会に必要なことは女性側にだけ責任を押し付ける現状を変えること
あくまで私見ですが、日本社会では、なぜか男性側よりも女性側に厳しい視線が向けられがちです。
「母性がないのか」といった非難は、少女に対する酷い中傷にすら感じます。
今回の事件は、未成年である少女が、社会の矛盾を一身に背負わされる構図を示しています。
社会に求められているのは、女性側だけに偏った形で責任が押しつけられている現状を変えていくことです。根底には男女差別社会があります。少年法の理解すらも十分に浸透しているとも思えません。
少なくともすぐにできることは、強制捜査のような形で少女を追い詰めるようなことは即刻やめることです。社会に間違った認識を植え付けかねません。
【取材協力弁護士】
猪野 亨(いの・とおる)弁護士
札幌弁護士会所属。離婚や親権、面会交流などの家庭の問題、DVやストーカー被害、高齢者や障害者、生活困窮者の相談など、主に民事や家事事件を扱う。
事務所名:いの法律事務所
事務所URL:https://law-ino.com/

