理由もなく強烈な眠気に襲われる、感情が高ぶると急に力が抜けてしまう――。そんな不思議な症状の裏には、実は「ナルコレプシー」という病気が隠れていることがあります。眠りのクリニック神楽坂の伊東先生がセルフチェックのポイントを解説します。
※2025年12月取材。

監修医師:
伊東 若子(眠りのクリニック神楽坂)
2003年、秋田大学医学部卒業。秋田大学大学院医学系研究科博士課程修了。旭川医科大学精神医学講座、岩手県立南光病院、サウスカロライナ大学Public Health研究留学、睡眠総合ケアクリニック代々木、神経研究所附属晴和病院、小石川東京病院を経て、2025年3月、眠りのクリニック神楽坂を開院。精神科病院にて精神科一般治療に従事した後、睡眠障害を中心とした診療と睡眠臨床研究に長年従事している。
ナルコレプシーとは?
編集部
そもそも、ナルコレプシーとはどのような病気ですか?
伊東先生
ナルコレプシーは、日中に強烈な眠気が襲ってくる睡眠障害で、覚醒を維持する脳の仕組みに異常が生じて起こると考えられています。単なる寝不足や疲労とは異なり、本人の努力ではコントロールできないのが特徴です。
編集部
誰でもなり得る可能性があるのですか?
伊東先生
はい、その通りです。また、発達障害の人の一部はナルコレプシーのような眠気の問題を持っていることがあります。
編集部
どのようなときに眠ってしまうのですか?
伊東先生
授業中、会議中、歩行中など、状況を選びません。10〜20代で発症しやすく完治することがないため、生活や学業、仕事に大きな影響が出る病気です。
編集部
夜に眠れないこともあるのでしょうか?
伊東先生
はい。夜間睡眠が浅くなり、何度も目が覚める睡眠の問題もよく見られます。
編集部
自力で治すことはできますか?
伊東先生
基本的に、意志や根性で眠気を抑えることは困難とされています。周囲から「怠けている」「集中力がない」と誤解されることがありますが、本人の努力不足とは無関係です。症状を改善するには、専門医による治療を受けることが必要です。
ナルコレプシーが疑われる症状とは? 見逃しやすい症状は?
編集部
ナルコレプシーが疑われる典型的な症状について教えてください。
伊東先生
最も特徴的なのは、日中に強烈な眠気が襲い、意図せず眠ってしまう「睡眠発作」です。数分〜20分眠ると回復するため、居眠り癖と勘違いされやすい点が特徴です。いったん回復してもすぐに眠くなるといった症状が一日中続きます。
編集部
ほかには、どのような症状がありますか?
伊東先生
笑ったり驚いたりした瞬間に力が抜けて倒れそうになる、「情動脱力発作(カタプレキシー)」ですね。該当する場合、ナルコレプシーを強く疑います。ほかにも、寝入りばなに金縛りが起きやすい、鮮明な幻覚を見るといった症状にも注意が必要です。ただし、情動脱力発作は必ず起こるわけではありません。
編集部
見逃されやすい症状もあるのでしょうか?
伊東先生
睡眠の分断、集中力低下などは、よくある症状として軽視されがちです。しかし、これらもナルコレプシーと関連があると考えられています。特に思春期においては見逃されやすく、授業態度の問題と誤解されることもあります。
編集部
強烈な眠気は、毎日起こるのですか?
伊東先生
個人差はありますが多くの場合、毎日症状が起こります。そのため、「大事なテストの時に眠ってしまった」「重要な会議で眠気に襲われた」など、日常生活に不便を感じている人が少なくありません。

