●地方事務所が『TM-RoBo』に熱視線
ポーラ、小林製薬、ライオン、TOTO―。名だたる大手企業が、岩原氏の開発した商標調査・作成業務の効率化を実現するツール『TM-RoBo』を導入している。
このサービスでは、AIが商標の類似性を数値とヒートマップ(色)で可視化することができる。従来は熟練者の「勘」と膨大な時間に頼っていた調査業務が、劇的に効率化される。従来は困難だった文字結合商標の検索も可能にしている。AIが1次スクリーニングを行い、判断が難しいグレーゾーンのみを専門家が担う。人とAIの最適な分業モデルこそが、現場に支持される理由だ。
この最先端ツールに現在、熱視線を送るのは、地方の特許事務所だという。従来、地方では「持ち帰って検討したのちに回答」という対応が通例だった。そこに『TM-RoBo』を導入した事務所は、顧客の目の前で、瞬時に数値と色で結果を提示する。そのスピードと先進性が顧客に強烈なインパクトを与え、「同業者との差別化」という武器になる。
大学でAIを研究し、広告代理店でビジネスの現場を知り、そして法曹界へ。特異なキャリアの掛け合わせで、起業家として道を切り拓いてきたが、「もっと若いうちに始めていればよかった」と50代での起業を振り返る。個別の紛争解決も重要だが、自らシステムを構築することには、社会の仕組みそのものを変えることができるポテンシャルがある。
「チャレンジして失敗しても構わない。“いち弁護士”に戻ればいいんですから」。法曹資格という最強のパスポートがあるからこそ、恐れずにリスクへ飛び込める。「人と違うことをやるのは面白いですよ」と語る岩原氏は、次世代の弁護士たちがテクノロジーを武器に、より自由に、より大胆に羽ばたくことを期待している。
【プロフィール】
いわはら・まさふみ 大阪大学大学院で人工知能を研究対象として修士号を取得後、大手広告代理店勤務を経て弁護士登録。知財法務を専門とする傍ら、株式会社IP-RoBoを創業。AIを活用してネーミングから商標調査までをワンストップで効率化するサービス「TM-RoBo」を開発し、知財実務の革新に取り組む。

