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フィンテックや医療のデジタル化…難題の法整備を次々実現 “理系弁護士”落合孝文氏が進めるスタートアップ支援

フィンテックや医療のデジタル化…難題の法整備を次々実現 “理系弁護士”落合孝文氏が進めるスタートアップ支援

規制改革推進会議のワーキンググループ座長を務め、政策形成の最前線に立つ落合孝文氏(BUSINESS LAWYERS AWARD 2025 スタートアップ支援部門賞、主催:弁護士ドットコム)。理工系出身の視点を武器に、フィンテックや医療のデジタル化など、テクノロジーと法律が交差する領域で成果を積み重ねてきた。スタートアップ支援と政策提言を両輪で進める活動の全貌を聞いた。

●学生時代に出会った起業家たち

「昨日、高市首相に会ってきたんですよ。激励されましたね」。落合孝文氏は2025年12月の取材でこう語っていた。規制改革推進会議のスタートアップ・ イノベーション促進WGの座長をつとめるなど、政府の会議に多数参加し、政策形成に関わり続けている。この政策形成とスタートアップ支援が結びついているのが、落合氏の特徴だ。

スタートアップとの出会いは、学生時代にさかのぼる。理工系の学部・大学院で学び、司法試験の合格後に起業サークルに関わる機会があり、理系の起業家たちがいた。味覚センサーを開発するなど「味博士」として知られる実業家・鈴木隆一氏も大学の後輩で、交流があった。

落合氏は高校生時代、文系学部への進学も視野に入れており、もともと文系学問への関心があった。大学卒業後の進路としては、会計士試験なども検討した末に、最終的に司法試験を受けた。「私自身は弁護士の道を選びましたが、その後のアグレッシブな起業家たちとの出会いが、今につながっています」と振り返る。

スタートアップ支援に本格的に関わるようになったのは、弁護士になってから「味博士」鈴木氏と再会した2015年ごろ。オンライン診療の制度論議やビジネスがあることを知り、医療のデジタル化に興味を持ったからだ。医師免許を持つ起業家たちとの交流が増えた。

同じ時期にITで金融サービスを進化させる「フィンテック」にも関わるようになり、2015年に設立された一般社団法人Fintech協会の事務局を担当することになった(現在は代表理事副会長)。「大企業中心の団体だと、既に有名な弁護士が参画しているのですが、スタートアップが多い団体なので、私自身にもチャンスがありました」と語る。

●医療や金融で成果を積み重ねる

Fintech協会では規制改革の提言に取り組み、20項目を超える提案事項のうち、多くを法改正につなげた。印象に残っているのは、銀行の口座情報や振込機能などを外部事業者のアプリやシステムと連携させるための「銀行API」の法整備に関わったことだ。

この仕組みがあることで、freeeやマネーフォワードといったIT企業のサービスと、金融機関のシステムを連携させ、サービスをより使いやすいものにできる。落合氏は、銀行APIの自主規制団体も作り、金融機関と締結する契約や、要求されるチェックリストの標準化に関わり、スタートアップが金融機関と連携しやすい環境を整えた。

医療分野でも、一般社団法人日本医療ベンチャー協会に参画し、オンライン診療をめぐる厚生労働省の検討会にも参加した。コロナ禍をきっかけに議論が進み、当時は専門委員として傍聴をしていた規制改革推進会議のタスクフォースと厚労省検討会が交錯し、厚労省検討会では業界の代表者らとの激しい意見のやりとりを繰り広げた。落合氏は「賛成・反対という単純な話ではなく、医師側からも電話診療などの提案があって、コロナ特例ができました」と振り返る。

政府の会議や、外部団体などでの活動を通じて、様々な人脈ができた。そこで、所属事務所の中に、自身が主宰する形で2022年、「プロトタイプ政策研究所」を立ち上げ、第一線の有識者や弁護士たちとともに、政策提言を続けている。「業界団体は利害関係があって、中立的な立場をとるのが難しい面があります。法律事務所という立場だからこそ、特定の業界や企業に偏らず、自由に提言できるのが特徴です」と意義を語る。

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