糖尿病と一口に言っても種類はさまざまですが、その中でも1型糖尿病は、発症の仕組みも治療法もほかのタイプとは大きく異なります。そこで、中央林間駅前いしだ内科の石田悠人先生に、1型糖尿病の原因や症状、治療法について詳しく話を聞きました。
※2025年10月取材。
≫【1分動画でわかる】突然発症する1型糖尿病のサイン
監修医師:
石田 悠人(中央林間いしだ内科)
信州大学医学部医学科卒業。JCHO東京新宿メディカルセンターで初期研修を修了後、横浜市立大学 内分泌・糖尿病内科学教室に入局。大和市立病院、藤沢市民病院、横浜労災病院などで専門診療に従事し経験を積む。2025年5月に中央林間駅前いしだ内科を開院。日本専門医機構認定内科専門医、日本専門医機構認定内分泌代謝・糖尿病内科領域専門医・指導医、日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医。
糖尿病について医師が徹底解説
編集部
糖尿病とはどういった病気なのでしょうか?
石田先生
糖尿病は、血液中のブドウ糖(血糖)が慢性的に高くなる病気です。血糖を下げるホルモンのインスリンが「出ない」あるいは「効きにくい」ことで、血糖が正常に下がらなくなるのが原因です。
編集部
糖尿病には種類があると聞きました。
石田先生
大きく分けて、①1型糖尿病、②2型糖尿病、③そのほかの特定の機序・疾患による糖尿病、④妊娠糖尿病の4つがあります。このうち最も多いのは生活習慣や体質と関係する2型糖尿病で、日本人の糖尿病の9割以上を占めています。
編集部
1型糖尿病と2型糖尿病は何が違うのですか?
石田先生
1型糖尿病は、膵臓のβ(ベータ)細胞が自己免疫やウイルスなどによって破壊され、インスリンがほぼ出なくなる病気です。急速に進行することが多く、発症時にはインスリンがほとんど出なくなっているケースもあります。一方の2型糖尿病は、体質や生活習慣などにより、インスリンが効きにくい、出にくいといった原因で、ゆっくり進行することが多い傾向にあります。
編集部
1型糖尿病はどうして起こるのでしょうか?
石田先生
多くは「自己免疫」といって、自分の免疫が誤って膵臓のβ細胞を攻撃してしまうことで起こります。ウイルス感染などがきっかけになる場合もあります。小児から成人まであらゆる年代で発症し、突然症状が出ることも珍しくありません。
1型糖尿病ってどんな症状が出るの? 治療はどのように進められる?
編集部
どのような症状が出るのですか?
石田先生
喉の渇き、尿量の増加、食べているのに体重が減る、強い疲労感などが代表的な症状です。進行すると「ケトアシドーシス」という危険な状態に陥り、吐き気、腹痛、息苦しさ、意識障害が起こることもあります。
編集部
診断はどのようにおこなわれるのでしょうか?
石田先生
診断は、血糖値やHbA1cの測定に加えて、インスリン分泌の指標となるCペプチドや、膵島関連自己抗体(GAD抗体など)を調べておこないます。1型糖尿病の中には、喉の渇きや尿量の増加といった症状が出てから1週間程度で前述のケトアシドーシスに陥る「劇症1型糖尿病」というものもあります。進行が非常に早いため、気になる症状があれば早期に専門医へ相談してください。
編集部
治療はどのように進めるのですか?
石田先生
1型糖尿病では体内でインスリンがほとんど作られないため、足りないインスリンを注射で補うことが治療の中心になります。健康な人のインスリンは、食事の有無にかかわらず分泌され血糖値を調整する「基礎分泌」と、食後の血糖上昇を抑える「追加分泌」に分かれています。1型糖尿病では、この2つの働きを、基礎分泌は持効型インスリン、追加分泌は超速効型インスリンで補います。インスリン量の調整方法を身につけることで、よりよい血糖コントロールが可能になります。
編集部
インスリンの調整方法について、もう少し詳しく教えてください。
石田先生
超速効型インスリンを用いて、現在の血糖値を目標の血糖値まで補正するのに必要な量を計算して注射する「補正インスリン」や、これから食べる食事の糖質量を推定して、それに応じたインスリン量を計算して注射する「応用カーボカウント」などで調整します。ほかにも、活動量や月経周期などに応じて調整を加えることもあります。インスリン量は自分で計算して調整する必要があるため、最初は戸惑う人もいますが、近年は便利なツールが増えています。例えば、現在の血糖値と、これから摂取する食べ物の推定糖質量を入力すると、必要なインスリン量を計算してくれるアプリがあり、以前より取り組みやすくなっていると思います。
編集部
それは便利ですね。
石田先生
また近年は、腕や腹部に装着して1日を通して血糖測定ができる持続血糖測定器(CGM)や、基礎インスリンの量を24時間にわたって設定・自動調整してくれるインスリンポンプが普及し、以前よりもリアルタイムで血糖の変動を把握し、細かい調整がしやすくなりました。ただ、こうしたインスリンポンプなどは、すべての医療機関で扱っているわけではないため、受診を検討している医療機関のサイトを確認したり、問い合わせをしたりして通院先を決めることをおすすめします。インスリン量は、食事量や運動量、体調、ストレスの有無などで毎日変わるため、最初は主治医と相談しながら、自分に合った調整方法を一緒に身につけていくことが大切です。適切にインスリンを使うことができれば、血糖値の安定と生活の質の向上につながります。

