「腹部エコー検査」で見つかる病気・疾患
ここではメディカルドック監修医が、「腹部エコー検査」で発見されやすい病気について解説します。どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
脂肪肝
脂肪肝は、肝臓に中性脂肪が蓄積した状態を指します。現在は「MASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)」という名称が用いられています。腹部エコーでは肝実質がびまん性に高エコーとなり、腎臓より白く見える「肝腎コントラストの増強」が特徴です。進行すると後方減衰が強くなり、血管の描出が不明瞭になります。炎症や線維化を伴う状態はMASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎)と呼ばれ、放置すると肝硬変や肝がんへ進展する可能性があります。
胆石症
胆石症は胆汁成分が凝集して結石を形成する病気で、結石が胆のうや胆管内に存在する状態を指します。腹部エコーでは、胆のう内に高エコー(明るく映る)構造が認められ、結石の後方に音響陰影(黒い影)が続く所見が診断に有用です。また、結石が移動して体位変換で位置が変わることも観察されます。この所見に加えて、胆のう壁の肥厚や周囲の液体貯留、ドプラ法での血流変化などから、炎症(急性胆のう炎)の有無も評価します。無症状で経過観察となる場合もありますが、右上腹部痛や発熱、黄疸を伴う場合は治療の検討が必要です。
膵臓がん
膵臓がんは、膵臓の細長い管(膵管)の上皮細胞から発生する悪性腫瘍です。多くは「腺がん」と呼ばれる組織型で、初期には症状がほとんど出ないため、進行するまで気づかれにくいことが特徴です。腹部エコーでは、膵実質内に低エコー域(暗く見える領域)として腫瘍が描出される場合がありますが、腸管ガスの影響で描出しにくいことも少なくありません。また、腫瘍によって膵管や総胆管が圧迫されると、それらの拡張所見が間接的な手がかりになります。進行すると腹痛、背部痛、食欲不振、黄疸などの症状が現れることがあり、血液検査やCT・MRIによる精密検査へと進むケースが多いです。
尿路結石
尿路結石は、腎臓・尿管・膀胱に結石が形成される病気です。結石は尿中のカルシウムや尿酸などが凝集して生じ、尿の流れを妨げることがあります。腹部エコーでは、結石が高エコー(明るく映る点状陰影)として描出され、後方に音響陰影(黒い影)を伴うことが典型的です。尿路が閉塞すると、結石より上流の腎盂や尿管が拡張(水腎症・水尿管症)する所見も確認されます。症状としては、激しい側腹部痛や血尿、吐き気などが多く、発熱や強い痛みが続く場合は緊急対応が必要です。治療は小さな結石なら自然排石を待つこともありますが、大きい結石や閉塞・感染を伴う場合は内視鏡的除去や破砕術が検討されます。
腹部エコー検査後の過ごし方と対処法とは?
腹部エコーは体への侵襲が少ない検査です。基本的に、終了後の制限はありません。
検査後はすぐに食事が可能です。絶食していた場合は、急に大量摂取せず、体調をみながら摂ります。ゼリーによる皮膚トラブルがあれば洗い流し、かゆみが続く場合は検査を受けた医療機関に相談しましょう。

